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片田珠美「精神科女医のたわごと」

日大アメフト部・内田前監督、自身の強大な権力への過信がアダに…選手に責任かぶせ自己保身

文=片田珠美/精神科医

(3)否定の効用を過信

 さらに、(3)否定の効用を過信したことも重要な要因だ。監督が指示したわけではないと否定し続ければ、逃げ切れると思ったのだろうが、これは、週刊誌でセクハラ疑惑が報じられた際に強く否定した財務省の福田淳一前事務次官と同じである。福田前事務次官の場合は音声データが公開されたが、内田前監督にはそんなものはなかったのだから、とりあえず否定すればなんとかなると思ったとしても、不思議ではない。

 もっとも、自分にとって都合の悪い事実が出てくると、とりあえず否定してその場を切り抜けようとするのは、この2人に限った話ではない。不倫や金銭トラブルなどのスキャンダルを報じられた芸能人や政治家が「やっていません」「関係ありません」と大見得を切るのはよくあることだ。そのうえ「名誉毀損で訴える」と息巻くこともあるが、そういう人に限って後から疑惑を裏づけるような事実が次々に出てくる。そして、渋々認めざるを得なくなる。

 したがって、本人が強く否定したからといって、周囲は必ずしもうのみにするわけではない。むしろ、ことさら否定するのは、何か後ろ暗いことがあるからではないかと私などは疑ってかかる。

 そのあたりの機微を認識していない人ほど、まずいことがあると否定して切り抜けようとする。とくに、内田前監督も、福田前事務次官も、権力を握る立場にいて、自分自身の影響力を過信していたので、自分が否定すれば、周囲は信じてくれると思ったのではないか。だが、こういう過信こそ墓穴を掘りかねないのである。
(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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