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暴走する介護保険…53サービス乱立で「共食い」状態、介護施設に淘汰の波

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「Gettyimages」より

 介護保険法に基づく介護サービスは細分化を繰り返し、厚生労働省のホームページで確認すると、居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスなどで計25種類53サービスに及ぶ。そのうち医師が常駐している唯一のサービスが、介護老人保健施設(老健)である。

 老健は「要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」と定義され、病院と自宅の間の中間施設として位置付けられてきた。施設数は全国に約4200施設。厚労省は、全国の中学校区単位を基準に医療と介護を一体的に提供して、在宅生活の限界点を引き上げる地域包括ケアシステムを2025年までに構築する方針だ。その中核施設になり得るのが、介護サービスで唯一医療機能を内部に備えた老健である。

 ところが、長年にわたって多くの老健は、本来機能の在宅復帰が脆弱だった。老健は在宅復帰率(入所1カ月以上の利用者が6カ月以内に退所して、自宅・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅などで介護を受ける割合)に応じて、3つの類型に分けられていた。在宅復帰率50%超が在宅強化型、30%超が加算型、それ以外は従来型で、基本報酬に差を設けて従来型から加算型へ、さらに強化型への移行が誘導されていたが、厚労省の思惑通りに進まなかった。

 核家族、老老世帯、独居世帯の増加で家族機能が弱体化し、復帰先の確保の難しいことが大きな要因だ。ある社会福祉法人幹部は、こう指摘する。

「病院から退院したり、老健から退所したりした後、家族が介護できないから施設に預けてしまうというケースが多いのです。地域によっては、地域包括ケアシステムは絵に描いた餅になっています」

遅れる在宅医療・在宅介護体制の整備


 地域包括ケアシステムの要を担う市区町村の人事も障害になっている。市区町村では人事異動がほぼ3年単位で実施されるため、保健福祉担当部門にノウハウが蓄積されないのだ。

 その結果、全国老人保健施設協会が昨年9月に実施して今年3月に発表した調査(回答・1529施設)によると、在宅強化型16.7%、加算型31.4%、従来型52.0%だった。今年4月に地域包括ケアシステム強化法が施行されたが、現状では政策と現実のかい離が縮まらず、地域包括ケアシステムの重点施策である在宅医療・在宅介護体制の整備は到底間に合わない。

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