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木村隆志「現代放送のミカタ」

フジテレビが『極タウン』で仕掛ける覚悟の消耗戦…苦い歴史と勝算

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト

 また、一般人であるスタッフは、キャラや華、話術や笑いもないため、エンタメ性では同系の番組に及ばない。必然的にスタジオの東野や恵に頼らざるを得ず、彼らは「なんで?」「危ない!」「絶対無理や」などと、普段より大きなリアクションを取ることでエンタメ性を高めようとしている。

過剰に危険を訴える演出も

 もうひとつ気になったのは、「ドキュメント性を高めよう」とする過剰演出。

 第1回の「カンフーの達人だらけの村」(中国)は数年前からニュースになっていたこともあり、ディレクターがリサーチの段階で知らないはずはない。もうひとつの「砂漠のど真ん中にあるオアシスの町」(ペルー)も同様であり、両方ともすでに観光地化されている。ネット検索すれば、誰でもわかることだ。

 ところが、ディレクターたちは何も知らないかのように現地をさまよい、第1回の砂漠では「死にそうになりながら奇跡的にオアシスの町を見つける」というくだりがあった。第2回の「断崖絶壁を1日250㎞走る民族」(メキシコ)でも、「崖から落ちて死にかねない」という身の危険を訴える発言が何度もあった。

 低予算の番組ほど「撮れ高が足りない」「お蔵入り」は許されないだけに、現地に飛ぶ前のリサーチは必須条件。ある程度の“アタリ”をつけているはずであり、今どきの賢明な視聴者も、それくらいのことはわかっている。だから、ディレクターたちが「しんどい……」「ホントにヤバい」「マジで死ぬかも」などと発言するたびに、ハラハラドキドキするのではなく醒めてしまう。

 前述したように、低予算でタレントを使っていない分、笑いの大きさでは勝負できないだけに、テレビ東京のようなドキュメント性が重要なのはわかるのだが、その点で大きな不安を残している。

 ただ、それをカバーしようということなのか、細部の演出は凝っている。テロップはカラフルかつポップで多彩。地図、経過時間、走行距離などが、めいっぱい盛り込まれ、随所に音楽をからめることでエンタメ色を強めている。

 また、テレビ東京の番組とは異なり、ディレクターの姿を繰り返し映してキャラにクローズアップするなど、タレントのように扱っていることもエンタメ色の強化だろう。

元王者・フジのマーケティング感覚とは

 前述したように、ゴールデンタイムに放送されている海外ロケバラエティは、すでに飽和状態。そこに新番組を投入すれば、ネタがかぶりやすくなるだけでなく、視聴者も分散してしまうなど、いずれかの番組が淘汰される可能性は高い。

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