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木村隆志「現代放送のミカタ」

フジテレビが『極タウン』で仕掛ける覚悟の消耗戦…苦い歴史と勝算

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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 フジテレビとすれば、「ウチの番組は“住む”というコンセプトで差別化できる」という思惑があったようだが、これまでの滞在時間は、187時間、207時間、194時間と、1週間強の“旅行”にすぎず、“住む”というには無理がある。

 視聴者感覚で“住む”が差別化にならなければ、他番組と比較され、「どれとどれが選ばれるか」、さらに「どれが打ち切られていくか」というシビアな戦いになっていくだろう。視聴者や視聴率だけでなく、ネタの奪い合いも熾烈を極め、リサーチからキャスティング、演出、予算まで、同系の番組はすべて消耗していくはずだ。

 なかでも予算的に厳しい『極タウン』の制作現場はすり減っていくことが予想されるが、それでも同じ土俵での戦いを仕掛けたのは、元王者・フジテレビらしいマーケティング感覚によるものではないか。

 フジテレビは、視聴率が下がり始めた頃からマーケティングの意識が強くなっていた。「視聴者ニーズをとらえるため」と言えば聞こえはいいが、実際は他局が視聴率を獲得している時間帯に同系の番組を投入する傾向が強い。

 もっともわかりやすいのはドラマ枠で、TBSの「日曜劇場」(21時~)が好調と見るや2度にわたってドラマ枠をつくり、日本テレビの「水曜ドラマ」(22時~)が好調と見るや、ここにもドラマ枠をつくった。いわば、「そこにドラマ好きの視聴者がいるから奪ってしまえ」「ウチの制作力があればできるはず」という王者の発想で戦いを挑んだのだが、どちらも惨敗を喫して短期間で撤退。同局にとっては、触れられたくない苦い歴史となっている。

覚悟の消耗戦を仕掛けたフジの勝算

 今、それが番組ジャンルを海外ロケバラエティに変えて繰り返されようとしているのかもしれない。

 土曜19時57分スタートの『極タウン』は、土曜21時~の『世界ふしぎ発見!』、土曜22時10分~の『陸海空 地球征服するなんて』、日曜19時58分~の『世界の果てまでイッテQ!』といった週末放送の海外ロケバラエティに先行放送できる。そこにいくらかの勝算を見いだしているのだろうが、すでに視聴習慣のある先輩番組へのアドバンテージとしては心もとない。

 しかし、それでも他局の海外ロケバラエティに対する影響力はあり、視聴率や評判を落とさせる可能性は十分にあるだろう。今年、『世界の村のどエライさん』に加えて『極タウン』と2つの新番組が加わったことで、海外ロケバラエティに対する“飽き”が進むことも考えられる。1~2年後、上記した番組の半数が終わっていても、まったく驚かない。それほどの飽和状態であり、消耗戦になっているのだ。

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