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小谷寿美子「薬に殺されないために」

風邪薬や解熱鎮痛剤、怖い副作用はなぜ起こる?

文=小谷寿美子/薬剤師

副作用の3つの種類

 副作用は、大きく分けると3種類あります。知っているだけで不安は緩和されます。

(1)期待する部位以外で薬効を発揮してしまった

 飲んだ薬は吸収されたのち、血液循環に乗って目的地へ運ばれます。もちろん目的地以外も通るので、そこで薬効を発揮するのです。わかりやすい例でいうと「鼻炎薬」です。この薬の作用は水分の排泄を止めることです。鼻でその作用を発揮すると、鼻の水分を止める、つまり鼻水が止まるわけです。これが期待する薬効です。

 それが、もし口の水分を止めるとどうなるでしょう? 口の水分、唾液の分泌が止まります。口が乾くのです。大腸の水分を止めるとどうなるでしょう? 便秘になってしまいます。実はステロイド薬の副作用もこのパターンで考えていきます。ステロイド薬は多くの作用があります。その多くの作用がさまざまな場所で発揮されるので、症状によって投与量は変わります。

(2)肝臓や腎臓へ負担がかかった

 飲んだ薬は排泄されます。肝臓で分解されて胆汁として排泄される場合と、腎臓でこし取られて排泄される場合があります。もちろんどちらか一方の時もありますし、両方の臓器で排泄されることもあります。薬を多くの種類飲んでいると、肝臓や腎臓がアップアップになり、「もう疲れた」とストライキを起こします。

 また、薬そのものや分解中の物質が直接臓器を破壊することもあります。アルコールが肝臓に悪いというのはご存知かと思います。アルコールが肝臓で分解される時に発生する「アセトアルデヒド」が直接肝臓を破壊します。風邪薬や痛み止めで有名な「アセトアミノフェン」は一度CYPという酵素でN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンという毒性物質に変換され、その後グルタチオンという物質にくっつくことで無害化して排泄されます。このグルタチオンという物質にも限りがあるので、くっつけずにあふれた毒性物質が肝臓を直接破壊します。排泄機能が落ちると体内に残る薬の量が増えるため、それによる中毒症状が出てしまうことが考えられます。

(3)アレルギー反応が起こった

 食べ物アレルギーと同様に薬にもアレルギーが出てしまうものです。その症状は軽いものから死に至るものまで出てきます。軽いものは蕁麻疹で、薬を中止してステロイド薬を飲んだり点滴したりすれば治ります。ひどいものはアナフィラキシーといって全身の蕁麻疹はもちろん、目や口の粘膜が腫れあがり、血圧低下と呼吸困難になります。これはすぐに対処しないと死にます。どの薬でもアレルギー反応は出る可能性があります。そのなかでも多いのが抗生物質、解熱鎮痛薬、造影剤です。

 以上みてきたように、薬を服用する際には、副作用について正しく理解することが大切です。
(文=小谷寿美子/薬剤師)

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。
市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。
入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。

市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。

Twitter:@kotanisumiko

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