ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal

ミネラルウォーターにフルーツなどのフレーバー(味や香り)をつけた、フレーバーウォーター。ニアウォーターとも呼ばれています。
コカ・コーラシステムの「い・ろ・は・す」は、みかんやりんごなどのフルーツフレーバーにはじまり、最近では、なんとメロンクリームソーダのようなスイーツ系のフレーバーまで出しました。また、サントリー食品インターナショナルの「ヨーグリーナ&サントリー天然水」には、ヨーグルトフレーバーなのに透明という驚きがありました。
しかし、このフレーバーウォーター、さまざまな飲料の「透明化」という話題性にとどまらず、人々の潜在的な気持ち・ニーズをとらえている、非常におもしろいマーケティングの題材になるのです。
フレーバーウォーターがヒットしている理由は、なんでしょうか?
『戦略インサイト――新しい市場を切り拓く最強のマーケティング』(桶谷功/ダイヤモンド社)
でも、実は、もっと深い心理に本当の理由がありそうなのです。
「ミネラルウォーター(水)」は、味がないストイックな飲み物。これが身体に一番いいといった理性的な判断が働きます。ミネラルウォーターは、「味で飲む」というより、「頭で飲む」飲み物といえるかもしれません。ある意味「知的な、スマートな」イメージの飲料です。大人が飲んでいても、オフィスで会議中に飲んでいても違和感がありません。
一方、甘い飲み物、たとえばジュース(果汁飲料)やコーラ飲料はどんなイメージでしょうか。中高生や学生が飲みそうな、ちょっと子供っぽいイメージがあるのではないでしょうか。また、「知的、スマート」というより、「楽しい、甘やかす」イメージです。重要な会議でジュースやコーラ飲料を飲んでいたら、かなり違和感がありそうです(もちろん企業の社風や業種によって違うと思いますが、堅い業種の、歴史がある大企業の会議に参加するときは、ジュースよりミネラルウォーターのほうが無難でしょう)。
そうです。フレーバーウォーターは、甘いジュースのフレーバーを、水がもっている「知的な、スマートな」イメージで飲める。甘いジュースを、大人がオフィスでもどこでも恥ずかしくなく飲める飲料にしたのです。