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「高いのがバレた」塚田農場、客離れ深刻で赤字転落…「地鶏」めぐり不当表示

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

景品表示法違反で消費者庁から措置命令

 競争力を失ったことから、塚田農場の店舗数は16年ごろに頭打ちとなり、以降は横ばいで推移し、現在は約140店にとどまっている。エー・ピーカンパニーは、客単価が3800円と高額であっても塚田農場を350店まで拡大できるとみていたが、現状に鑑みると到達は難しいといえるだろう。

 同社は塚田農場が高価格ゆえに不振に陥っている面があるとみて、客単価が2000円程度という低価格の焼き鳥居酒屋を新たに開発した。立ち飲みの「やきとりスタンド」と、座り飲みの「やきとりスタンダード」がそうだ。しかし普及は進まず、両業態の店舗数は現在約10店にとどまっている。

 厳しい経営状況から脱却を図ろうとしたからなのだろうか。エー・ピーカンパニーは5月22日、塚田農場が「チキン南蛮」などのメニューでブロイラーを使用していたのに、地鶏を使ったかのような不当な表示をしたとして、消費者庁より景品表示法違反(優良誤認)に基づく措置命令を受けた。

 同庁によると、同社は17年4月から8月まで、塚田農場のメニュー表の表紙に「地鶏一筋」と記載した印影を掲載し、メニュー表内で「地鶏は野生の旨味」「在来鶏の血統『地鶏』はほんの一部」「限られた農家しか生産が許されないみやざき地頭鶏」などと記載していたという。

 また、「みやざき地頭鶏」と称する地鶏の写真のほか、「みやざき地頭鶏」と称する地鶏が雛センターなどで育成されてから店舗で料理として提供されるまでの流通過程を示した図などを掲載していた。

 一連の表記により、あたかもすべての料理に地鶏を使用しているかのような表示となっていたが、実際は「チキン南蛮」「月見つくね」「塩つくね」にブロイラーを使用していたという。

 消費者庁は、実際のものよりも著しく優良であると示したとして、景品表示法に違反すると判断し措置命令を出した。エー・ピーカンパニーは「誤解が生じないよう表記を徹底するよう、再発防止に取り組む」とコメントし、すでにメニューを改め、払い戻しなどの対応を進めているという。いずれにしても、同社はお粗末な騒動を引き起こしたといえるだろう。

 このように、エー・ピーカンパニーは厳しい経営状況が続いているわけだが、ただ手をこまねいているわけではない。

 同社は3月、東京・中目黒に「みやざき地頭鶏」の焼き鳥を提供する新業態「焼鳥つかだ」の1号店をオープンした。塚田農場の旗艦店と位置付け、ブランド立て直しの第一歩としたい考えだ。日本を代表するクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が店舗の外装やインテリア、食器などをデザインした。

 焼鳥つかだの客単価は4500〜5500円を想定しており、塚田農場よりもやや高めとなるが、焼鳥つかだで提供するノウハウを塚田農場にも導入し、ブランド力の底上げを図りたい考えだ。

 果たして塚田農場とエー・ピーカンパニーは立ち直ることができるのか。今後の展開に注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。 

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