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高橋篤史「経済禁忌録」

あのジャスダック上場「ハコ企業」に強制調査…蠢く怪しい人脈の全容解明か

文=高橋篤史/ジャーナリスト

筆頭株主に躍り出たN&Mマネージメント

 さて、問題はこれらの背後でいかなる人脈が蠢いていたか、である。複数の民事訴訟記録など関係書類から浮かび上がってくるのは、次のような面々である。

 突如、筆頭株主に躍り出たN&Mマネージメントを実質支配していたのは名うての金融ブローカー(現在59歳)だった。ソルガム社で現在、社長を務める中原麗氏は前述の共和フィナンシャルの代表取締役でもあり、この金融ブローカーとは当初から近い存在だったと考えられる。当時、中原氏は10年12月にさいたま地裁で破産開始決定(同時に費用不足で破産廃止)を受けてからまだ日が浅い頃であり、経済的に余裕があったとは思われない。

 問題の金融ブローカーは当時、刑務所から出たばかりだった。大盛工業株をめぐる風説の流布事件で08年11月に2年6月の実刑判決を受けていたのである。その事件で金融ブローカーが最初に検察から呼び出しを受けたのは3年以上も前の05年9月のことだったが、直後に逃亡、約2年にわたる潜伏生活を続けた末の逮捕だった。

 風説の流布が行われたのは02年とさらに遡る。もともと土木工事会社だった大盛工業に影響力を行使した金融ブローカーは、実現性のないIP携帯電話事業を新規事業としてぶち上げさせ、株価の吊り上げを図った。同時に英領ヴァージン諸島に登記したペーパー会社を受け皿に、新株予約権を大量に発行させた。金融ブローカーはまんまと大盛工業株を売り抜け、16億円近くをボロ儲けする。もっとも、そのうち半分程度は暴力団組長や金融業者などへの借金返済に充てられた。

 それ以前にも金融ブローカーは数々の経済事件・トラブルに顔を出していた。1996年に起きた三和銀行雪ヶ谷支店を舞台とする業務上横領事件で実刑判決を受けていたし、98年には宮城県内の「ホテル瑞鳳」をめぐる詐欺事件で逮捕(のちに起訴猶予)されてもいた。さらに01年に起きたクレイフィッシュの創業者保有株がいずこにか消えたトラブルでも、重要な役割を演じていたことが知られている。

 そんな人物の影がちらつく筆頭株主を頂いたソルガム社の経営は案の定、その後、低迷、あげくにトラブル続きだった。なかでも特筆すべきは14年に起きたリアルビジョン株の譲渡をめぐるドタバタ劇である。

高橋篤史/ジャーナリスト

高橋篤史/ジャーナリスト

1968年生まれ。日刊工業新聞社、東洋経済新報社を経て2009年からフリーランスのジャーナリスト。著書に、新潮ドキュメント賞候補となった『凋落 木村剛と大島健伸』(東洋経済新報社)や『創価学会秘史』(講談社)などがある。

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