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嫌われる上司が会社を支える…くだらない意見は無視、徹底的にダメ出し

文=鉾木雄哉/清談社
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 この場合、部下は問題に対してすぐにアクションを起こしてくれる上司のほうが「頼もしい」と感じるに違いない。しかし、悪人の上司は部下から人間関係の相談をされても「真剣に取り合わない」のだという。

「多くの人が集まる組織では、ある人をこき下ろす人がいれば、その人を絶賛する人もいます。どちらかが間違っているというより、組織にはそういう多面的な部分があるということです。そのとき、限定的で少ない情報から行動を起こすと、悪い結果を招くことになりかねません」(同)

 優しくて頼りにされる上司は、当事者を呼び出して話を聞き、無理やり仲直りさせたり飲みに連れて行ったりしがちだ。しかし、それで一件落着かといえば、必ずしもそうではない。問題の本質が明らかになっていればいいが、そうでなければ、かえって人間関係を悪化させることにもなりかねないからだ。

 部下の相談を真剣に取り合わずにスルーすれば、「冷たい上司」「頼りにならない上司」という印象を与えることになるだろう。しかし、「組織をより正しい方向に導く」という観点で見ると、スルーするほうが結果的に誠実な対応になることもあるという。

「離職率を下げるために不満を解消」は危険?

 そもそも、部下に好かれる上司は「“風通しのいい職場”がいい組織」だと勘違いしていることが多く、それゆえ不勉強な若手でも自由に発言できる環境を目指そうとする。しかし、曽和氏によると、悪人の上司は「くだらない意見は退ける」という。

「誰の発言にも耳を傾けるということは、本来なら無視してもいい『どうでもいい意見』に対しても丁寧に対応するということです。それは、コミュニケーションに対するコストがより一層増すことを意味します。

 さらに、『どうでもいい意見』にも優しく対応すると、『徹底的に考え抜く姿勢』や『真剣に議論をする気質』を阻害することにもつながる。そんな弊害を招くのであれば、いっそ『どうでもいい意見』は無視したほうがいいのです」(同)

「それはブラック企業では?」と感じる人もいるかもしれない。確かに、このような上司のいる会社は離職率も高そうだ。しかし、曽和氏は何も“ブラック企業化”を勧めているわけではない。

「人が入れ替わらないと、『組織のマンネリ化』という弊害が生まれます。変わらないメンバーで同じ仕事を続けていると、なあなあの空気が醸成され、新しいアイデアが生まれなくなる。それで、時代の変化に対応できるでしょうか?」(同)

 見方を変えれば、雇用のミスマッチによって離職者が出るのは、ある意味で自然なことでもある。

『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか? 人事のプロによる逆説のマネジメント』 自分が正しいと思うことはストレートに主張し、人に嫌われたり非難されたりすることを恐れず、逆風を真正面から受け止めても動じない。そんなふうに愛想が悪く、自分を飾らない人物は周囲に好かれず、ときに「悪人」とも評されます。しかし「利他的な悪人」である彼らこそが、数々の組織における変革の影の主役であり、原動力なのです。「部下の相談はスルーする」「リーダー批判は徹底的につぶす」など、本書では一見眉をひそめたくなるような、しかし真に会社の発展のための礎となる「悪人」のマネジメント論を展開します。 amazon_associate_logo.jpg

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