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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

トランス脂肪酸、WHOが排除の方針発表…農水省は規制せず放置、幅広い食品で使用

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WHOの「REPLACE」提言

 その折も折、WHO(世界保健機関)が「REPLACE」という提言を発表しました。

・REview:工業的に製造されるトランス脂肪酸の原材料および必要な政策転換について展望する
・Promote:トランス脂肪酸をより健康的な脂肪や油に切り替える
・Legislate:トランス脂肪酸を排除するための規制措置を講じる
・Assess:食料品に含まれるトランス脂肪酸の量およびトランス脂肪酸の消費量の変化を評価、監視する
・Create:政策立案者、生産者、供給者、国民にトランス脂肪酸が健康に及ぼす悪影響に関する認識を促す
・Enforce:政策と規制のコンプライアンスを強化する

 これらの語の頭文字をつなげてREPLACE、というわけです。いわば、世界中の加工食品からトランス脂肪酸を排除するための戦略的行動指針というべきもので、それだけトランス脂肪酸を排除することが、人々の健康と生命を守るための鍵になると、WHOが認めたということでもあります。

 この動きは、遅かれ早かれ日本にも影響を及ぼすとは思いますが、それは日本が即、それに沿った行動をとるということではありません。むしろ、日本が変わるまでは、まだまだ時間がかかるでしょう。それは、もし加工食品に含まれるトランス脂肪酸の量を明確化することや、加工食品に含まれるトランス脂肪酸の割合に規制をかけることがあれば、多くの食品企業が猛反対をするのは必然だからです。裏を返せば、それほど大量のトランス脂肪酸が、日本の加工食品には含まれているといえます。

 これは、企業の存続を脅かしかねないくらい重大な出来事です。それがわかっているから、行政は規制をかけないのです。企業側も企業側で、トランス脂肪酸の悪影響について、消費者に詳しく知ってほしくはないのです。その意を汲んで、マスメディアも、詳しくは報じません。

 今や、トランス脂肪酸が排除すべき物質であることは、多くの人の知るところとなっています。しかし日本においては、現時点でトランス脂肪酸を加工食品から排除することはできないのです。排除できないことを、政治の責任だとか、行政に問題があるなどと言っても始まりません。また、トランス脂肪酸を摂取する人を嘲笑しても無意味です。

 では、私たちはどうするべきでしょう。どう対応するのが正しいのでしょうか。

 それは、トランス脂肪酸が危険な、食べるに値しないものであるということを知った人が、食べないようにする、食べることを拒否するしかありません。つまり、私たち自身の意識と、それに伴う行動の問題であると理解することが必要なのです。要は、自分自身の責任の所在を明確にするということです。

 なぜなら、トランス脂肪酸を食べて健康を害するのは自分だからです。盲目的な、希望的観測に基づいて、自分が食べるものや家族が食べるものを選択するのは愚かなことです。賢明な読者の皆様には、ご自分らしい判断と選択をしていただきたいと願っております。それが、数日後の、また数年後のご自分の健康に直結するからです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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