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上昌広「絶望の医療 希望の医療」

女性殺到の駅ナカ「コンビニクリニック」に勤務して驚愕した受診理由…日本医療の問題露呈

文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

貧血性感染症対策

 この分野に飛び込もうとしている女性医師がいる。山本佳奈医師だ(写真2)。

女性殺到の駅ナカ「コンビニクリニック」に勤務して驚愕した受診理由…日本医療の問題露呈の画像5写真2:ナビタスクリニック新宿で診療する山本佳奈医師

 滋賀医大在学中から、私が主宰する東大医科研の研究室に出入りし、卒業後は南相馬市立総合病院で研修した。2016年に私が東大医科研を退職し、NPO法人医療ガバナンス研究所を立ち上げたとき、その研究員となった。

 さらに、この4月から東大の大学院に進むとともに、福島県いわき市のときわ会常磐病院、およびナビタスクリニックで診療することとなった。彼女が目指すのは「女性の総合医」だ。産科や泌尿器科などの手技は習得するのに時間がかかるため、研修から除外した。ナビタスクリニックが、彼女にとって理想の研修施設であることはいうまでもない。

女性殺到の駅ナカ「コンビニクリニック」に勤務して驚愕した受診理由…日本医療の問題露呈の画像6

 では、ときわ会には何を期待するのだろう。それは地域密着の医療を経験することだ。ときわ会は中核の常磐病院以外に保育園、幼稚園、老健施設や特養も経営している。さらに、地元のサッカーチームであるいわきFCやいわき平競輪も支援している。このため、いわきには多くのアスリートが訪れる。ときわ会で勤務することで、普段、医療機関を受診しない女性と交流することが可能になる。

 最近、20代の競輪選手である小林優香氏と知り合ったそうだ。アスリートの医療相談といえば、整形外科やスポーツ医学を思い浮かべる方が多いだろう。確かに、アスリート支援にそのような専門家は欠かせないし、業界団体は支援体制を整備している。

 私が驚いたのは、山本医師が「彼女も普通の女の子」と言ったことだ。小林選手は貧血をはじめとした女性特有の相談に乗ってもらいたいが、なかなか機会がなかったそうだ。山本医師は、彼女とフェイスブックでつながり、相談に乗っている。

 このような関係は山本医師にとってもありがたい。現場からの貴重な情報を入手できるからだ。臨床研究のアイデアも浮かぶ。

 まず、彼女が取り組んだのは貧血と性感染症対策だ。山本医師は大学時代から貧血の研究に取り組んできた。南相馬市立総合病院で研修中の2016年には『貧血大国・日本 放置されてきた国民病の原因と対策』(光文社)を出版した。2017年には上海の復旦大学に短期留学し、日中の貧血の比較を研究した。現在、いわき市でアスリートから小中高校生の貧血の実態を調査するため、近隣の大学の体育会やいわき市内のクラブチームと調整を進めている。

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
医療ガバナンス研究所

Twitter:@KamiMasahiro

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