ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 金正恩の詐欺的交渉術…5つの仕掛け  > 4ページ目
NEW
荻原博子「家庭のお金のホントとウソ」

金正恩、詐欺師的交渉術でトランプに完全勝利…米韓軍事演習を中止させた巧妙な「仕掛け」

文=荻原博子/経済ジャーナリスト

 それを見て、世界の論調は北朝鮮寄りになりました。怒りに任せて会談を中止したトランプに対し、「金正恩は真摯な態度で核放棄を考えている」と受け止め、北朝鮮に同情が集まったのです。

 ただ、実際には豊渓里の核実験場はオンボロで、北朝鮮にとっては閉鎖しても痛くない程度のものでした。それを爆破することで誠実さを示すと同時に、トランプに非難が集まり信用が失墜すれば、北朝鮮にとってはメリットしかありません。

 しかも、トランプが会談中止を宣言した途端に、北朝鮮は異例の早さでトランプに謝罪文を送りました。その素早さを考えると、おそらくトランプが中止と言い出すことを想定し、あらかじめ用意していたのでしょう。

 この時点で、北朝鮮はさまざまな可能性をシミュレーションしていたはずです。そして、仮に会談がなくなっても、北朝鮮は中国、ロシア、韓国への根回しが済んでいるので、アメリカがすぐに攻撃してくる可能性は低い。

 そうした状況を綿密にシミュレーションしながら、自分の手の内を隠したままトランプに謝罪文を送り、動向を見守ったのでしょう。

 さて、気になるのが日本への影響ですが、残り2つの「相手の弱みを逆利用する」「頭を抑えれば尻尾はついてくる」と共に次回に詳述したいと思います。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)

荻原博子/経済ジャーナリスト

荻原博子/経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。

『老前破産 年金支給70歳時代のお金サバイバル』 給料が上がらない、ローンが終わらない、子どもの将来が見えない、残業カットに増税、年金支給は先送り――ああ、お先真っ暗!「老後破産」などまだ“マシ”だ。「65歳まで働けばなんとかなる」「退職金で借金は帳消しにできる」「家を売れば老人ホームに入れる」こうした従来の“常識”はもう通用しない。やってみれば怖くない、家計立て直しの全て。 amazon_associate_logo.jpg

金正恩、詐欺師的交渉術でトランプに完全勝利…米韓軍事演習を中止させた巧妙な「仕掛け」のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , , , , , , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!