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立教大学の書店、なぜ店員は一斉に辞めてしまったのか? 某大手書店の「振る舞い」

文=深笛義也/ライター

 教科書の取り扱いについても抜かりはなかった。いつ在庫が切れてしまうかは、なかなか読みにくいものだが、先回りして切らさずに置き続けた。切れそうになって取り次ぎになかった場合には、出版社に直接連絡して取り寄せた。筆者が学生だった頃を思い起こしてみると、教科書を買いそびれたのは自分のせいだから、「取り寄せるのに2週間かかります」と言われても、仕方がないことだと諦めたと思う。この教科書の扱い一つ取ってみても、いかに書店員たちが客の目線に立って仕事をしていたかが伝わってくる。

 これだけ仕事のできるベテラン書店員たちは、すべてアルバイトの身分だ。時給は未経験のレストランのホール担当や、コールセンターのオペレーターと同程度である。本部から回ってくる社員もこの店舗が成功していることを感じ、他店舗に「フリーペーパーをつくったらどうか?」と提案したようだ。フリーペーパーは休日につくられていたものなので、これは無理な提案だ。

蔑ろにされた熱意と善意

 そのような、店舗の書店員と本部社員のズレが深刻になったのが、昨年のことだった。

 セントポールプラザにコンビニエンスストアが入ることになり、書店は半分の面積になり、それに伴ってリニューアルすることになったのだ。リニューアルオープンしたのは、昨年の9月。本部から来た社員の指示で、店には洋書が溢れた。棚の3スパンが洋書。教科書や簿記の本を置くはずだったイベントフェア台も、洋書が占めた。「洋書をたくさん置いて格好良くしたい」と支店長は言った。見映えがするようになった店舗を、本部社員は盛んに写真に撮る。

 どうやら、他大学での成功例があったらしい。そちらでは洋書を多くして、ブックカフェも併設しておしゃれな店となったようだ。だが店舗の規模も違い、ブックカフェを擁するスペースはない。

 肝心の教科書については、「教科書は教科書販売中に買ってもらえばいいし、店には置かなくていい」という指示で、教授たちから「教科書が置かれていないのはどういうことだ!」と叱責の電話がかかり、そのたびに謝罪することになった。もちろん学生も不便を感じ、苦情が寄せられる。本部に報告しても、改善されることはなかった。

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11:30更新
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