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オリンパス、スキャンダル再び…贈賄疑惑の告発者に報復措置、144件もの訴訟発覚【4】

文=山口義正/ジャーナリスト
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オリンパス、スキャンダル再び…贈賄疑惑の告発者に報復措置、144件もの訴訟発覚【4】の画像1オリンパスの事業所(「Wikipedia」より/Kamemaru2000)

 オリンパスと同社の人事部長、法務部長を相手取って訴訟を起こした社内弁護士は、名前を榊原拓紀という。西村あさひ法律事務所を経てオリンパスに転職した若手の弁護士である。同社によって榊原弁護士が社用メールの送受信をできないようにされた頃から、同社はどこかが壊れてしまったらしい。

 前回記事で触れたように、オリンパス社員から「お恥ずかしい話ですが、お力をお貸し下さい」とメールが来たのと前後して、同社の中国・深センでの贈賄疑惑に関するさまざまな資料が引っ切りなしに筆者のもとへ送られてくるようになった。ある資料はメールに添付されて送信され、またある資料は差出人不明のまま郵送されてきた。オリンパスのロゴが入った封筒に、宛先も差出人も記入されないまま、「FACTA」編集部の郵便受けにこっそり投函されていたこともある。

 それまでも問題が浮上するたびにオリンパス社員からと思われる情報提供があったが、多くは散発的なものだった。しかし今回は違う。毎週、新しい内部資料や、深センで問題が浮上した頃の古い資料、問題にかかわった社員の消息、社内の雰囲気などがもたらされ、記事を書くための材料に事欠かなくなった。

「FACTA」(2月号)で深セン問題を記事にした後、筆者はオリンパスと社外取締役たちに対して、その無為を責めると同時に、一種の強度実験を試みた。榊原弁護士が社外取締役や他の役員、幹部社員に送ったメールには、メールの送り先アドレスがずらりと並んでいる。そこで社外取締役全員に対して、深圳問題をどう認識しているのか、そしてどう対応するつもりなのかを問う質問状を送った。

 社外取締役たちは自分のアドレスを筆者らが把握しているとは、よもや思っていまい。そこに質問状が送られてくれば、多少なりとも驚くだろう。逆に社外取締役とオリンパスが動揺せずに一致結束していれば、私の質問状など意に介せず、いつものように無視するのではないか。この質問状で結束の強度がわかるだろう。

 質問状を送った翌日の夕刻、オリンパスの広報担当者から筆者に苦情の電話が入った。

「社外取締役に直接メールを送るのはやめてほしい。取材依頼は広報・IR部で対応するから」という内容だった。強度実験は成功した。

患者が相次いで訴訟

 話を訴訟に戻す。榊原弁護士が会社と人事部長、法務部長を相手取って、損害賠償請求訴訟を起こしたのは、1月19日のことだった。公益通報者保護法違反と職場環境配慮義務違反により、500万円を支払えという請求内容である。

 訴状を読むと、単に公益通報者保護法違反と職場環境配慮義務違反について記してあるだけでなく、中国・深センで贈賄が疑われる契約や取引があったことについて、詳しく記されていた。

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