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貧困ヤクザ、社会問題化…スーパーで万引き、日本各地でナマコ密漁、幼なじみ恐喝

文=編集部
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 それでも、バブル期前後には経済ヤクザたちがメディアをにぎわせ、彼らの金満ぶりは世間に印象づけられていた。

ロレックスとベンツのヤクザはバブル期の幻影

 バブル期には、宮崎さん自身も「地上げ屋」として都市銀行から億単位のカネを預かり、地上げに奔走した経験がある。

「あの頃の銀行はいくらでもカネを出して、私たちはそれを使ってゲームのように地上げをしていました。でも、心の中では『こんな異常なことは長くは続かないだろう』と予想していました。実際、そうなりましたしね」(同)

 そう予想できたのは、子どもの頃からヤクザたちを見てきたからだという。

「ヤクザだった父は解体業を営んでいて、ビジネスは成功していたほうでしたが、それでも浮き沈みはありました。土地や株で儲けるヤクザなんか少数でしたから」(同)

 バブル期に儲けたことで、ヤクザたちの意識も変わったということか。

「そうですね。映画『仁義なき戦い』(広島死闘篇)では、自分は『うまいものを食っていい女を抱く』ために生まれてきた、つまり『ヤクザをやっているのだ』と千葉真一さんに言わせていますね。その程度が“幸せ”だったのですが、バブルはヤクザたちの金銭感覚をも変えてしまったんです。黒いスーツにロレックスをつけてベンツをころがすようなヤクザはバブル期の幻影にすぎなかったのに、それがスタンダードになってしまいました」(同)

 確かにバブル期は「ヤクザ=リッチ」だったようだが、いわばそのときの“幻想”から抜け出せないヤクザも多かったということだろうか。

「貧困ヤクザの三大シノギ」とは

 宮崎氏によれば、最近の非合法シノギも決して新しい問題ではないという。

「今どきの『貧困ヤクザの三大シノギ』とされている違法薬物、詐欺、密漁は昔から行われてきたことです。カネのある親分衆は、こうしたシノギを『任俠にもとる行為』として禁じてきましたが、食えない若い衆がやるのは当たり前ですね。ただし、危険ドラッグの製造技術をはじめ、スマホなど電子機器の進化もあって内容的には変わっています。それに、昔のヤクザはすぐに殺したりして、荒っぽかった。今は、ヤクザによる殺人はほとんど起こっていないですね」(同)

 警察庁の「警察白書」などによれば、殺人事件は1954年の3081件をピークに減少を続けており、全国の警察が2017年の1年間に認知した殺人事件(未遂を含む)は過去最少だった16年より25件多い920件と報告されている。

『暴力団追放を疑え』 峻烈さを増す暴力団排除の動き。今や銀行口座開設、不動産契約からも、暴力団関係者は除外されつつある。しかし、ヤクザの実態が正しく伝わらないなかで、異論を挟むことも許さない排除運動は何をもたらすのだろうか? アウトロー史観ともいうべき独自の視点を持つ著者が、近年の暴力団追放の風潮の裏に潜む、警察利権の問題、管理型社会の進行に警鐘を鳴らす。 amazon_associate_logo.jpg
『あえて暴力団排除に反対する』 2011年、全都道府県で暴力団排除条例が施行された。この法令により、銀行や郵便局の口座が作れない、子どもが差別されるなどの問題が起きている。危機感を共有する表現者、法曹関係者たちが暴力団排除条例に異議を唱える。 amazon_associate_logo.jpg

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