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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

新幹線、大阪北部地震でも「無事故・無脱線」を遂げた、知られざるスゴい仕掛け

文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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 いま挙げた4件の事件、トラブルとも、鉄道会社側に責任のある事象ではない。かといって発生を防ぐ手立てを何も採らなくてよいということもなく、特に大地震への対策は念入りに施されている。18日の大地震で東海道・山陽両新幹線の線路がどれほど揺れたのかは今のところはわからないものの、すべての列車が脱線することなく無事に停止できたのはさまざまな地震対策が功を奏したからだ。

鉄道会社の苦労は絶えない

 具体的な地震対策を挙げておこう。地震のうち最初に観測されるP波を検知し、予測された震度が4相当以上の場合、自動的に架線の送電を止めるという東海道新幹線早期地震警報システム(東海道新幹線)、早期地震検知警報システム(山陽新幹線)が導入されている。新幹線の車両は架線が停電すると即座に非常ブレーキが作動するようになっており、17日のパンタグラフのトラブルでも列車が停止したのはこの機能によるものだ。

 新幹線に施された地震対策はまだある。激しい揺れのなかでブレーキを作動させているときに列車が脱線しないよう、東海道新幹線では線路に脱線防止ガードを設けて車輪がレールから外れない仕組みを整えた。また、仮に脱線したとしても逸脱防止ストッパの働きで車両が線路から大きく逸れてしまわないようにしており、こちらは東海道・山陽両新幹線に採用されている。

 14日に起きた人身事故では2つの問題点を指摘したい。線路内に男性の侵入を許してしまった点、人身事故を起こした列車がそのまま走り続け、車両が破損しているにもかかわらず運転を続けた点である。

 前者の問題点について、実はフル規格の新幹線は一般的な鉄道と比べれば線路内に人が立ち入りづらいつくりをもつ。線路の周囲には柵が張りめぐらされ、保守作業用の出入口には防犯カメラや防犯センサーなどが設置されているからだ。東海道新幹線では沿線に警備員を配置し、沿線での定期的なパトロールに加え、列車の運転士からの通報にも即座に対応して現場に急行する。

 ちなみに、新幹線の線路への立ち入りは、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法、略して新幹線特例法によって禁止されている行為だ。違反した場合、1年以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられるが、自殺であるとか犯罪目的で侵入するような人に対して、そのような建前を振りかざしても意味はない。線路の周囲全体を防犯カメラや防犯センサーでカバーすべきであろうが、何しろ山陽新幹線の営業列車が走行する線路の長さだけで553.7kmもある。延べ280.5kmに達するトンネルを除いても273.2kmで、線路の警備は両側で必要となるから合わせて546.4kmをくまなく守ることは容易ではない。防犯センサーが異常を検知すると数十分単位で列車を止める必要はあるものの、誤作動も多く、定時運行を求める旅客とのはざまで鉄道会社の苦労は絶えないであろう。