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平均月収12万円台…地下アイドルたちが「儲けられない」過激な撮影会をやめない理由

文=森井隆二郎/A4studio
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握手会や物販(撮影会)、ビジネス的うま味はさほど多くない

 昨今は「SHOWROOM」などのネットサービスで生配信を行っている地下アイドルもおり、視聴者から贈られる仮想アイテムが収入につながることもあるという。「ギフティング」と呼ばれるもので、いわゆる“投げ銭システム”だ。画面越しに“在宅”で応援するという楽しみ方も、ファンにとっては選択肢のひとつになっているわけである。

 しかし、ネットサービスが広まれば広まるほど、ライヴの“現場”が軽視され、物販の客足が遠のく恐れはないのだろうか。

「現場と生配信は別物だと思います。ときどきライヴ後の物販に並んでいる間にスマートフォンでSHOWROOMを視聴している人も見かけますが、直接会うのと画面越しに見るのでは魅力に違いがあります。どちらにも面白さはあると思いますが、生配信が好きで画面越しでも満足できるアイドルファンの人はあまり現場に来ないようです。

 また、SHOWROOMで生配信をしている地下アイドルを取材することもありますが、彼女たちは収入のためだけにサービスを利用しているわけではなさそうです。宣伝の意味もありますが、それよりも例えば毎日自分の決めた時間に必ず生配信をすることが『私はアイドルとしてがんばっている』という確信につながっているようです」(同)

 姫乃氏によると、話題のSHOWROOMも地下アイドルたちの大きな収入源になっているというわけではなく、いわゆる承認欲求を満たすツールとなっているということなのかもしれない。いずれにしても想像以上に地下アイドルを取り巻く金銭事情はシビアなのだろう。

 握手会や物販(撮影会)は地下アイドルが成功を収めるための戦略として活用される側面もあるようだが、姫乃氏いわく、「実際はそう単純なものではなく、完全にビジネスだとは割り切れない」のだと言う。

「握手会などで直接顔を合わせて話せると、アイドルとファンとの結び付きが強くなりますが、握手をするのが本当に苦手なアイドルもいるので、そういう方が活動するのに現在のアイドルシーンは大変だなあと思います。

 人気のある子はファンの人数も多いので、ファンの方々も握手をする一瞬に全力を注いできます。人の気持ちに敏感なアイドルだと、疲れ切ってしまうこともあるでしょう。そうすると辛い人には辛い“仕事”となってしまいます。

 私は最近、握手を通して自分自身が癒されるようになりました。活動が辛いと長く続けられないので、それぞれの地下アイドルが無理をしないで自分の得意なところでがんばれるようになれば、今後のアイドルのあり方も変わってくるのではないでしょうか」(同)

単純な収益だけでは測れない地下アイドルのアイデンティティー

 最後に、地下アイドルや握手会ビジネスの今後について聞いた。

「数年前にアイドルグループの解散が相次いで、世間的なブームは落ち着いてきているようですが、ライヴ現場の勢いは衰えている様子がありません。この先さらに、アイドルがメディアに登場する機会が減る時も訪れるかもしれませんが、元をたどれば『テレビに出られないならライヴハウスで活動しよう』というのが、プレアイドルや地下アイドルの発祥だったので回帰していくだけのことです。

 地下アイドル業界は、技術のない女の子が自分には何ができるのかを探すために足を踏み入れる業界でもあり、いわばモラトリアムの受け皿としても機能しています。そのため文化としても廃れないと思いますし、ライヴ後の握手会などもこのまま継続されていくのではないかと考えています。AKB48のように人気のあるアイドルが、ライヴとは別日程で握手会を開くという現在のスタイルも当分続いていくのでしょう」(同)

 アイドルとファンの関係性は一見、ただ握手や写真撮影をしているだけで何年も代わり映えしていないように感じられるが、それはシステムとしてどれだけ合理的かを表しているのかもしれない。

 地下アイドルやそれにともなう握手会ビジネスは、確固たる収益を上げるビジネスモデルとして不確かな部分も多いが、そこには単純な収益のプラス・マイナスだけでは測れない、地下アイドルのアイデンティティーがあるように感じた。
(文=森井隆二郎/A4studio)

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