プラットフォーマーの成功の秘訣は、市場占有率にある。
コア事業であるSBI証券の実績を見てみよう。口座数(426万口)、預かり資産残高(12.9兆円)、営業利益(535億円)。二番手の楽天証券は口座数(261万口)、預かり資産残高(5.0兆円)、営業利益(206億円)。圧倒的な差をつけ、盤石の地位を確立している。
住信SBIネット銀行の預金残高は4兆4252億円で、大和ネクスト銀行の3兆4060億円を引き離してネット専業銀行のトップだ。
保険事業は比較的新しいビジネスで、SBIインシュアランス・グループはSBI損保、SBI生命など5社で成り立っており、保険契約件数は174万件。前年の163万件から6.7%増えた。
SBIは2つの新たな生態系をつくり上げるに当たって、戦略ドライバーとなる2つのファンドを立ち上げた。
ひとつは人工知能(AI)やブロックチェーンを主な投資対象とする「SBI AI & Blockchain ファンド」(SBI A&Bファンド)。ビットコインなどの仮想通貨に使われる暗号技術「ブロックチェーン」を武器にする米国の有力ベンチャー、リップルやR3にいち早く出資し、連携した。
もうひとつが地域金融機関を対象にした「SBI地域銀行価値創造ファンド」だ。専門家のいる適格機関投資家を勧誘対象にした私募の投資信託。100億円規模でスタートを切り、将来は1000億円規模のファンドを見込む。SBIグループが出資するフィンテックベンチャーの技術を、ファンドが出資した地銀に導入して企業価値を向上させる。
仮想通貨交換事業への進出は、北尾氏がぶち上げた“地方銀行プラットフォーマー構想”の重要なパーツなのである。
北尾氏の野望はとどまることをしらない。果たして、プラットフォーマーの覇者になることができるのだろうか。
(文=編集部)