NEW
林裕之&林葉子「少油生活のススメ」

『金スマ』の「ツナ缶の油は捨てずに使う」に疑問…DHAは微量、健康被害の恐れも

文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家
【この記事のキーワード】

, ,

ツナ缶の油使用は「最悪の食事術」

 しかし、この油の使い方は間違っています。糖質と肥満の関係は別にしても、ツナ缶の油は捨てるべきなのです。

 まず基本的な間違いは、ツナ缶にDHA、EPAは少ないということ。最近、DHA、EPAの健康効果やダイエット効果が注目され、DHA、EPAが豊富なサバ缶やイワシ缶が人気ですが、ツナ缶のDHA、EPA量はかなり微量で、ほとんどないと言っても過言ではありません。

 そもそも、ツナ缶の原料となるビンチョウマグロ(ビンナガ)やメバチマグロ、キハダマグロなどは、DHA、EPAが少ない魚です。ツナ缶は最初の製造過程でその魚を煮るのですが、そのときに魚から出たDHA、EPAなどが溶け込んだ煮汁は捨ててしまうので、さらに少なくなります。そして、茹で上がった魚に野菜などからつくった調味液と植物油を充填したのが油漬けツナ缶なのです。

 番組では、この油に原料の魚からのDHA、EPAが溶け込んでいると説明していましたが、このような製造工程から、あり得ないのです。実際、文部科学省の食品成分データベースで調べても、ツナ缶(マグロ類/油漬け)可食部100gのうち、多いものでもDHAは0.15g、EPAは0.077gと、ごくわずかな量しか含まれていません。

 次の間違いは、油漬けのツナ缶に使われる植物油の安全性です。ツナ缶に充填される油は、大豆油や綿実油などが多く、それらの主成分はリノール酸で、過剰摂取の害が指摘されている油です。ツナ缶100g当たりに、リノール酸は11gも含まれています。つまり、体に良いDHA、EPAはほとんどないうえ、摂取を控えるべきリノール酸が多いのが油漬けツナ缶なのです。やはりツナ缶の油は捨てるべきなのです。

 糖質制限を推奨する人々の多くは、肉や油などの脂肪酸摂取の量にはこだわる必要がなく、糖質を減らす分、タンパク質と肉類や炒め物、揚げ物など脂肪分豊富な食事でおなかを満たすことを勧めています。しかし、肉類や炒め物、揚げ物に使われるサラダ油やツナ缶の大豆油、綿実油に豊富に含まれるリノール酸の過剰摂取は、アレルギーや動脈硬化、糖尿病、脂質異常症などの原因になると報告されています。

 糖質制限そのものの賛否はともかく、糖質の代わりに脂肪酸の質(成分)を問わずに多量に摂取すると、かえって健康を損ねることになりかねません。そうなっては本末転倒です。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)

講演会のお知らせ
テーマ:その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です! -あなたの知らない油の話-
日時:2018年8月21日(火)19:30〜21:30(19時開場)
会場:サンクチュアリ出版イベントスペースB1
詳細、お申込みはこちら

参考文献
糖尿なのに脂質(あぶら)が主因!―糖尿病とその合併症予防の脂質栄養ガイドライン(クオリティケア) 奥山治美著 

オリーブオイル・サラダ油は今すぐやめなさい!(綜合ムック)奧山治美著

その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!(知的生き方文庫/三笠書房)林 裕之著

こちらも併せてお読みください。
『糖質制限食は人体に危険!がん、糖尿病、心筋梗塞のリスク増大…リノール酸過剰摂取』

●林 裕之 1956年 東京生まれ(植物油研究家)/林 葉子 1954年 東京生まれ(知食料理研究家)
娘のアトピー再発をきっかけに植物油の害を知る。あまり知られていない植物油の正しい情報を知ってもらうべく、「油を変えて美味しく体質改善」をテーマに、レシピ本や料理教室、ブログなどの活動を夫婦で展開中。著書に『「DE-OIL」でキレイになる』(MIDI)、『体に良い油で作る絶品料理 (1)からだがよろこぶ!賢脳・健康レシピ』『体に良い油で作る絶品料理 (2)あたまがよろこぶ!賢脳・健康レシピ』(ともにダイナミックセラーズ出版)などがある。最新刊は『その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!』(三笠書房)。
ブログ:「『DE-OIL』でキレイになる」…オメガ3系の油“アマニ油、えごま油” で体質改善。体と頭に効く油別の料理ブログ。

情報提供はこちら
RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合