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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

北朝鮮、世界最高のハッカー集団「ラザルス」が世界の脅威に…コインチェック事件にも関与か

文=渡邉哲也/経済評論家
北朝鮮、世界最高のハッカー集団「ラザルス」が世界の脅威に…コインチェック事件にも関与かの画像1北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

 本連載前回記事で、仮想通貨は「通貨の3要素」を満たしていないことなどについて述べたが、現物の紙幣や硬貨がなく匿名性が高いために、テロ組織への資金供与やマネーロンダリングなどに悪用されている現実もある。

 最近では、「ダッシュ」「ジーキャッシュ」「モネロ」などのように、誰が誰に送金したのかを第三者が知ることのできない「匿名性暗号通貨」も登場しており、プライバシー保護が強化される半面、取引の追跡が難しくなることで「犯罪をより助長するのではないか」という懸念も生まれている。

 また、仮想通貨が不正利用される背景には、ハードウェアウォレット(秘密鍵をメモリなどに保存するウォレット<財布>)の存在もある。仮想通貨にアクセスするための秘密鍵が保存されているハードウェアウォレットを使えば、「この中に100ビットコイン(1ビットコイン=73万円換算で7300万円)が入っているから現金を用意してくれ」というふうに、事実上のオフラインで仮想通貨の“現物渡し”ができてしまうわけだ。

 また、ある国で現地の通貨で「ビットコイン」を買い、それをハードウェアウォレットに入れて海外に持ち出す。海外の仮想通貨取引所で口座を開設し、ハードウェアウォレットのビットコインを売ることで、外貨を手に入れることができる。それが日本で行われれば、犯罪者がビットコインを介して不正な資金を日本円に換えるという事態も起きてしまうことになる。

 史上最大の流出事件を起こしたコインチェックのように、仮想通貨を安全性の低いホットウォレット(インターネットに接続されているウォレット)に保存しておくのも問題だが、この場合はネットワーク上に履歴が残るという点で捜査機関などが取引を追跡する余地がある。しかし、ハードウェアウォレットを使った相対取引は追跡が困難であるため、犯罪を助長してしまいかねないのだ。

 したがって、今後は取引情報の秘匿に加え、ハードウェアウォレットを利用した現物取引にも国際的な規制が検討されることになるだろう。

調達資金を持ち逃げする“ICO詐欺”が急増

 もうひとつ、典型的な金融犯罪の一種が「地下銀行」だ。これは銀行法などに基づく免許を持たずに海外に不正送金する行為を指す。

北朝鮮、世界最高のハッカー集団「ラザルス」が世界の脅威に…コインチェック事件にも関与かの画像2『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』(ワック/渡邉哲也)

 たとえば、日本でビデオショップ(実態は地下銀行)を経営しているA国の人が、日本の銀行に口座をつくる。そのA国人は母国にも銀行口座を持っている。そこで、日本に滞在している別のA国人から、A国への500万円の送金を依頼されたとしよう。

 ビデオショップのオーナーは、A国の同じようなビデオショップ(実態は地下銀行)と連絡を取り、振り込みや手渡しで相手先に現地通貨で500万円を送金するように依頼するわけだ。これで、違法な外国為替業務が成立する。

 このケースは法定通貨を使った手口だが、仮想通貨の送金サービスを使えば銀行を介さずに海外に送金することも可能だ。さらに、前述したような匿名性暗号通貨を使えば、金融当局の目を巧妙に逃れて海外に不正送金を行うことも、より簡単になってしまう。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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