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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

北朝鮮、世界最高のハッカー集団「ラザルス」が世界の脅威に…コインチェック事件にも関与か

文=渡邉哲也/経済評論家

 この問題をややこしくしているのは、仮想通貨が法定通貨でも有価証券でもない「財産的価値」であるという点だ。仮想通貨は金融商品取引法や銀行法の縛りを受けない。地下銀行は銀行法に違反する行為だが、そもそも仮想通貨は銀行法の適用外なのである。

 また、ICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)も新たな犯罪の温床となっている。これは、企業などが仮想通貨を発行して資金調達をすることだが、海外では調達した資金を持ち逃げする“ICO詐欺”が急増しているのだ。

 たとえば、2018年2月には、新たに仮想通貨を立ち上げる目的でICOで約450万ドルを集めていたスタートアップ企業のLoopXが、ウェブサイトやすべてのソーシャル・ネットワーキング・サービスのアカウントを閉鎖して消息不明になる事件が起きた。

 金融庁は17年10月の時点で「ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~」という文書で警鐘を鳴らしている。海外でも、中国や韓国の金融当局はICOを全面的に禁止しており、アメリカ証券取引委員会は詐欺の疑いのあるICOの告発に着手している。

世界最高のハッカー集団を育成する北朝鮮

 いずれにせよ、匿名性が高く既存の金融システムを使わずとも世界中に資金を移動できる仮想通貨に、犯罪やテロにかかわる組織が目をつけないわけがない。

 それはアメリカから「テロ支援国家」に指定されている北朝鮮も同じだ。国家的な経済力やインフラには乏しい北朝鮮だが、実は世界最高クラスのハッカー集団「ラザルス」を抱えており、世界中でサイバー攻撃や金融犯罪を繰り返しているといわれている。

 コインチェックへのハッキングに関してもいまだ関与が疑われているほか、17年4月に韓国の仮想通貨取引所のユービットが不正アクセスによって大量の仮想通貨を奪われ破産に追い込まれた事件についても、同様にラザルスの仕業という見方がされている。また、北朝鮮は仮想通貨「モネロ」をマイニング(採掘)し、そこで得た利益を金日成総合大学に送るソフトウェアを開発したともいわれているのだ。

 北朝鮮は国家戦略としてハッカーを育成しているわけだが、この問題の怖いところは、ひとりの天才ハッカーがいれば世界的な大犯罪が可能になってしまう点だ。たとえば、個人でもアメリカの軍事用コンピュータを攻撃することによって軍事力を無力化させることができてしまうかもしれないし、ハッキングでネットワーク環境そのものを破壊すれば、一国の社会インフラを停止させることも不可能ではない。

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