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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

新幹線、死者の多さは際立つ…駅での保安検査は実施可能、駅利用料徴収はやむなし

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 しかしながら、筆者はやはり新幹線には駅での保安検査が必要と主張したい。今回の殺傷事件を含め、過去に新幹線の車内では4人が犯罪によって命を落としている。この数は決して少ない数ではない。新幹線では大地震による死者、それに列車脱線事故や列車衝突事故による死者は開業以来皆無であり、対策を施せば防止できることは証明されている。これらの事象に比べれば4人という死者の多さは際だつ。

 いうまでもなく、保安検査の導入にはさまざまな課題を解決しなくてはならないので、いますぐ航空機並みとするには非現実的であることは百も承知だ。そこで、段階的な導入を提案したい。

 いまでも東京駅などの巨大ターミナルでは改札口に警察官や警備担当者が立っている。こうした人たちの判断により、検査が必要だと認めた旅客に対してであるとか、さらには無作為に抽出した旅客に対して保安検査を行ってはいかがであろうか。

 手荷物検査の実施方法もできる限り効率化を図りたい。たとえば、自動改札機は動く歩道の途中に設け、携えた荷物はその隣に同じ速度のベルトコンベアに置いて保安装置をくぐらせる。検査の結果、客室に持ち込めないとなった荷物は荷物室で預かるのではなく、近くに設けた宅配業者の窓口で、旅行の目的地または自宅などへと送る手配を取るようにするとよいであろう。

 保安検査の導入によって鉄道会社には金銭面での負担が生じる。これは駅使用料という形で徴収すればよいであろう。金額は500円程度が目安と考える。

 何よりも求められるのは利用者の協力だ。安全のためには少々の負担もやむを得ないという理解が得られなければ導入など望むべくもない。

 手荷物検査の実施例として挙げたドーム球場やコンサート会場では、かつてはなんのチェックもなく入場できた。状況に変化が生じたのは1995(平成7)年に地下鉄サリン事件が起きてからだ。入場に時間がかかるといった反応も見られたが、安全第一という世論の後押しによってすっかり定着している。

新幹線の新たな「安全神話」の始まり

 線路内への立ち入りを防ぐ有効な手段として考えられるのはドローンだ。ある程度の高度から線路を監視し、線路に立ち入ろうとする人影を認識したら、即座に地上の総合指令所に連絡するという仕組みはすでに開発に着手されていると聞く。一日も早い実用化を望みたい。

 運転士が車内から確認できない車両の様子もドローンが解決してくれる。これに加えて、先頭車のなかで運転士の死角となっている部分をなくすために車載カメラの導入も検討されてよい。このあたりも何も筆者が初めて提案するような意見ではなく、すでに採用が検討されているはずだ。

 天災や犯罪から新幹線はなぜ守られなければならないか。それは超高速で走行しているために万一走行に支障が生じた場合、大事故につながりやすいからだ。また、列車は容易に停止できないので、被害が広がりやすく、恐怖はよりいっそう高まる。だからこそ、防がなくてはならないのだ。

 鉄道会社に責任のない事象の防止に積極的に取り組みたくない気持ちはわかる。だが、責任の所在を問わず、新幹線を利用して旅客が犠牲になったという事実は厳然として存在しているのだ。2018年6月が新幹線の新たな「安全神話」の始まりとなることを期待したい。
(文=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

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