ビジネスジャーナル > 企業ニュース > クラウン、60年も人気維持の理由  > 2ページ目
NEW
有馬賢治「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」

トヨタ「クラウン」、60年以上も高い人気を維持し続けている理由

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

ブランド・エクイティを高めれば商戦は断然有利に

――ブランドの所有に消費者が満足感を抱いているということですね。

有馬 はい。ブランド価値が認められることにより、指名買いを促進させることができ、いい連想やステータスを感じてもらえるようになります。フルモデルチェンジされたトヨタ自動車15代目クラウンが先月発売されましたが、この車種は初代の登場から60年以上たった今でも根強い人気を誇っています。クラウンの新モデルは、毎回実際に車を見なくても買い替えを決めるヘビーユーザーがいるほどで、それだけ「クラウン」ブランドへの信頼感が厚いことを意味しています。

――米アップルのiPhoneも、新モデル発売のたびに愛好家が店舗に列をつくっている様子が報道されています。

有馬 それも同様ですね。このように、ユーザーの期待にこたえる製品が提供され続けられると、ブランドには資産としての価値が認められるようになります。こうした状態を“ブランド・エクイティ”があると表現しています。

――この状態にまでなれば、商戦をかなり有利に運べると?

有馬 そうです。以前の記事(『タバスコ、サランラップ…なぜ固有の商品名が一般的総称に?なぜ富士重はスバルに社名変更?』)で紹介しましたが、セロテープやサランラップのように、ブランドが当該カテゴリー製品を代表するようになると、類似製品を覆い隠す効果があります。この域までブランドを育てられると、非常に有利なマーケティングを展開できるようになるというわけです。

――そこまでブランドを成長させる方法は?

有馬 CMなどをたくさん打てば、ブランドの知名度を上げられますが、それとブランドの信頼感とは別問題です。ブランドの信頼は、長期にわたってクオリティの高い商品を出し続けるしかありません。しかも、そのなかで一度でも失敗を犯すと積み上げた信頼は一挙に崩れてしまいます。だからこそ、資産価値のあるブランドは、世界的にもそう多くはないのです。

――ありがとうございました。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

トヨタ「クラウン」、60年以上も高い人気を維持し続けている理由のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!