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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

河野太郎外相、多忙の合間縫い土日に香港訪問の「目的」

文=相馬勝/ジャーナリスト
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 外務省のHPによると、河野太郎外相が3月24、25日の土日を利用して香港を訪問し、約1時間50分間にわたり、ラム氏とワーキングランチを行っている。その結果、「ラム氏が11月1日に東京で開催される大型シンポジウム『think GLOBAL, think HONG KONG』に出席するため日本を訪問する意向を表明し、河野大臣は行政長官による8年振りの訪日に心から歓迎の意を表明した」という。

 また、その際に「河野大臣から、東日本大震災以後に実施されている指定5県(福島・茨城・栃木・群馬・千葉)の一部産品の輸入停止等の措置の撤廃について働きかけた」とあり、ラム氏が訪日時に、それらの一部産品の輸入停止措置などの撤廃を発表するとの観測も出ている。

 香港人の親日ぶりは有名で、香港の訪日客の2割以上が「過去に10度以上訪れた」という驚異のリピート率を誇っており、大震災の被災地となった5県の一部産品の香港輸入停止措置などが撤廃されれば、被災地の救済につながるだけに、河野外相もラム氏に力説したに違いない。

 しかし、多忙を極める外相が土日の休日を使って、それだけのために香港を訪問しなければならないのかとなると、それは疑問だろう。外務省HPには、最後に次のように記載されている。

「この地域の平和と安定にとっても重要な課題である北朝鮮問題についても話が及び、双方は関連の国連安保理決議の完全な履行を含め、あらゆる方法を通じた最大限の圧力を継続するため、連携を強化することで一致した」

 これについて、在京外交筋はこう解説する。

「河野外相の香港訪問の最大の目的は、北朝鮮への制裁強化だ。当時は米朝首脳会談も決まっておらず、経済を中心とした北朝鮮の制裁を強化することが急務だった。香港はアジアにおける海運の要衝であり、世界中の海運会社が集中しており、北朝鮮とビジネスを持つ海運会社や船舶も多い。それだけに、他国が香港を経由して北朝鮮に制裁物資を運ぶ可能性もあり、香港が制裁の抜け穴にならないように、河野外相がおっとり刀で駆けつけたと考えるほうが自然だ」

 しかし、香港は前述したように中国指導部の意のままだ。習氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と兄弟同然の関係を構築しつつあり、中国はいまや対北制裁の緩和を主張しており、河野外相の香港訪問の成果は、指定5県の一部産品の輸入停止措置などの撤廃だけにとどまるという可能性も否定できないのである。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

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