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なぜ成城ブランドは凋落したのか?高級住宅街の地位陥落、賃貸アパート乱立の理由

文=中村未来/清談社
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高級住宅街の頂点に君臨する芦屋の六麓荘町

 一方、2畳半アパートの建設によってブランド価値を脅かされている成城では、住民たちが反対運動を展開している。成城には「成城憲章」という町内会独自のルールがあり、これを盾に賃貸アパートの乱立に反対しているのだ。

 しかし、青山氏によると、この反対運動の効力については疑問が残るという。

「成城憲章は単なる町内会の決めごとにすぎず、法的にはなんの効力も持ちません。地域住民には気の毒な話ですが、いくら反対しようと、法律違反にならなければ基本的には無視しても問題はないのです」(同)

 もはや成城ブランドの凋落になす術がないといった状況なのか。前述したように、この時代の移り変わりによる概念の変化はすべての高級住宅街に当てはまる。

 ただし、唯一の例外といえるのが兵庫県芦屋市の六麓荘町。青山氏は「日本で今、高級住宅街として認められるのは六麓荘町だけと思われます」と指摘する。

 高級住宅街として全国的に知られる芦屋のなかでも、六麓荘町はその頂点に君臨する別格のエリアだ。六麓荘町には独自の建築協定があり、住宅はすべて戸建て、それも400平方メートル以上でなければならない。

 新たに家を建てる際は地域住民を集めた説明会を開催する必要があり、住民になれば町内会の入会賛助金として50万円が必要だという。なぜ、六麓荘町にはそんな決まりが存在するのだろうか。

「六麓荘町では、昔から住民たちが率先して町づくりを行ってきました。景観を損なうような信号や電柱は一切なく、営業活動を排除するため、コンビニや商店街もありません。こうしたルールはすべて条例として定められているので、勝手に信号をつくるのは法律違反になります。高級住宅街というカテゴリを条例で守っているのは、日本では六麓荘町のほかにないと思います」(同)

 実は、海外では高級住宅街の景観が厳格な条例によって守られるのは珍しいことではない。日本でも京都が景観維持に努力しているが、京都は住宅地ではなく、あくまでも観光地だ。

 つまり、今は高級住宅街として人気の南麻布や広尾にも、こうした条例がない以上、成城のように2畳半のアパートが建てられる可能性があるというわけだ。

「住宅地としての価値を本気で維持していきたいと思うなら、地域住民が自主的かつ積極的に行政などに働きかける必要があります。それができないなら、やはり時代の変化を受け入れて生活していくしかありません」(同)

 街の価値は、時代やライフスタイルの変化によって刻々と変わっていく。それなら、変化に抵抗することにエネルギーを注ぐより、「変化をどう受け入れるか」という点を考えたほうがいいのかもしれない。
(文=中村未来/清談社)

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