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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、習近平の顔写真ポスターに墨汁かける運動拡大…人民の不満爆発、独裁体制に危機

文=相馬勝/ジャーナリスト

習派と党長老グループが激突の可能性も

 北京の外交筋は「習近平指導部による人権弾圧や党・国家指導者の任期撤廃、習氏の個人礼賛キャンペーンは知識人を中心に不満の声が高まっているのに加え、習氏の民意無視の姿勢が習近平批判を全国的に拡大させたといえよう」と指摘している。

 党機関紙「人民日報」にも変化の兆しが表れている。最近、1面の見出しの中に習氏の名前が含まれていないこともあるほか、中国国営通信の新華社(電子版)も党中央党校が発行する「学習時報」を引用するかたちで、毛沢東の後継者として党主席に就任した故華国鋒氏が個人崇拝を進めたとして党内で批判を受けた経緯を詳述する記事を伝えている。

 その記事のタイトルは『華国鋒は誤りを認めた』というもので、党が1980年に「今後20~30年、現職指導者の肖像は飾らない」と決定したことにも触れており、個人崇拝を進める習氏を暗に批判しているのは間違いない。

 米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」によると、党長老の江沢民、胡錦濤、朱鎔基、温家宝の各氏らが連名で党中央に経済、外交政策の見直しを求める書簡を送付して、「党内はいま、個人崇拝や左派的急進主義などの問題があり、早急に改める必要がある」と強く警告したという。

 中国では今月末から8月中旬にかけて、河北省の避暑地、北戴河で、党長老と現役の最高指導部が参加する北戴河会議が行われるが、この場で、習派と党長老グループが個人崇拝をめぐって激突することも考えられる。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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