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『絶対零度』第3話で視聴者の前に提示された「裏テーマ」

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『絶対零度』公式サイトより

 連続テレビドラマ『絶対零度 未然犯罪潜入捜査』(フジテレビ系)の第3話が23日に放送され、平均視聴率は前回から1.2ポイント増の10.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。第1話の10.6%を上回り、自己最高を更新した。

 このドラマは、元公安のエリート・井沢範人(沢村一樹)率いる「未然犯罪捜査班」の活躍を描く物語。警察が極秘に開発した「未然犯罪捜査システム(ミハンシステム)」が割り出した情報に基づいて殺人事件を犯そうとしている人物を捜査し、その犯行を未然に防ぐのが彼らの任務だ。

 第3話でミハンシステムは、1年前に自殺を図って今も入院中の大学生・若槻真帆(柴田杏花)を危険人物と判定した。彼女のスマホからサークルのSNSグループに「復讐してやる」とのメッセージが送信され、しかも同じスマホから大量の医療用ニトログリセリンが購入されていたのだ。だが、小田切唯(本田翼)が病院に潜入したところ、若槻は今なお昏睡状態にあり、スマホの操作をできる状態ではなかった。誰かが彼女になりすまして殺人を計画しているとにらんだミハンチームは、若槻の過去や交友関係の洗い出しを始めた――というストーリーだった。

 捜査の結果、若槻が自殺を図ったのは学生起業家の湯川(佐野岳)にレイプされたのが原因だと判明した。ミハンチームは、これに義憤を抱いたサークルメンバーの1人が怪しいとにらむ。

 ここまでは良かった。だが、オチが良くない。若槻になりすまして湯川を殺そうとしていたのは、ここまでの話とは何の関係もない理学療法士だったのだ。昏睡状態の若槻にマッサージを施すうちに「心が通じ合った」と勝手に感じ、復讐を果たして一緒に死のうと計画していたのだというが、ポッと出の第3者が真犯人というのはドラマとして最悪である。動機も弱すぎるし、無理やりひねった感が満載で、真犯人を突き止めても全然スカッとしない。

 そもそも、ドラマとして変化球を投げすぎだ。つまり、3話までを放送した現時点で、「ミハンシステム」が正しく危険人物を割り出したのは第2話のみ。第1話ではシステムが危険人物と提示した時点でその人物自体が殺されており、第3話もスマホを使ったなりすましにシステムがだまされている。第1話の時点でも書いたが、せっかくの設定に正面から向き合わず、「逃げている」ような脚本にはあまり好感が持てない。第2話のような正統派のストーリーの頻度をもう少し増やしたほうが良いのではないか。

 とはいえ、今後を期待させる要素は大いにある。ラストで、今回の事件の元凶である湯川が何者かに撃たれたように思わせる場面が描かれたのだ。実際には暗転とともに発砲音だけが聞こえたため生死は不明だが、もし殺されたのだとしたら、2話続けて「法で裁かれなかった悪が何者かに始末される」という結末だったことになる。おそらく、このパターンは残りの回でも踏襲されるに違いない。

 ミハンシステムを推進する東堂定春(伊藤淳史)を筆頭に、過去に犯罪に巻き込まれ、悪に強い憎しみを抱く警察官たちばかりがミハンチームとして集められたことも明らかになった。

 となると、ミハンシステムの本当の狙いは、殺人事件などの重大犯罪を未然に防ぐことではなく、殺人事件が起こる元凶となった真の悪人をあぶり出し、秘密裏に抹殺することではないのか――という推理も成り立つ。つまり、悪人がのさばり続ける限りそれに恨みを抱く人間も増え続け、「あいつに復讐してやりたい」という悪意が世の中に満ちあふれるので、元から断つのが一番だ、という理屈だ。

 この推理が正しいとは限らないが、いずれにしても「東堂の真の目的は何なのか」「悪人を始末しているのは誰なのか」という大きな謎が視聴者の前に提示されている。うまくこれを生かしきって、我々を楽しませてほしい。

 ストーリーばかりに触れたが、最後に本田翼の演技が良くなってきたことも書き添えておきたい。第1話ではギャル全開のキャラクターだったが、第3話では一転してトラウマを抱えた女性の心理を好演。トラウマや憎しみを乗り越えて警察官としての任務を果たそうとする演技は内面の強さまでもが表れているようで、素直に良いと思えた。来週はまたアクション全開の「強い小田切」が復活するようなので、期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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