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ジャーナリズム
小笠原泰「日本は大丈夫か」

W杯日本代表の西野監督は不適切だったのか…ベルギー戦敗戦は当然の結果

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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 この汚名をすすぐための強い攻めの意識があったがゆえに、ラッキーにも2点先行したにもかかわらず、失点してもよいから2点を守るという常識的な戦術への転換ができなかったのではないか。強い気概でハイになっている選手としては、守りへの意識転換は難しいので、ここで西野監督が意識を変える指示をするべきではなかったか。しかし、西野監督はそれをしなかったように見える。後半ロスタイムで、キーパーにセーブされたが本田圭佑が見事なフリーキックをし、その勢いでコーナーキックをするのだが、なぜ最後尾のバックスが上がったのかは、元日本代表監督のザッケローニなども指摘しているとおり不可解である。ここでも西野監督の指示はなかった。そのあとのベルギーの速攻は、虚をつかれたのではなく、当然の結果である。

 ポーランド戦後の記者会見での、一次リーグ突破を果たした監督とは思えない悲痛な面持ちから察するに、やはり西野監督はベルギー戦で選手に「守りに徹せよ」とは言えなかったのではないか。ポーランド戦で「確率」に基づいて負けを維持する戦略をとった西野監督だが、ベルギー戦では最後のところで確率に基づいて勝負に冷徹になれなかったのであろう。選手の疲労などを考え、最後の攻め上がりも含めて延長戦を避けたとの説明もできるであろうが、それは賭けであり、確率の問題ではない。いわば玉砕行為に近い。

 W杯史上、90分以内に2点以上の差をひっくり返したのは52年ぶりである。決勝トーナメントに限れば、西ドイツが延長戦の末にイングランドに2点差を逆転して勝利したのは48年前のことだ。それくらい、2点差を覆すのは難しい。確率を問うのであれば、この逆転の難しさを重視すべきであったと思う。しかし、その選択肢は取らなかった。今回のベルギー戦を総括すれば、ポーランド戦でかった顰蹙が、良い意味でも悪い意味でも日本代表に強く働いたといえよう。

日本代表監督は日本人がよい?

 外国人監督の基本スタンスは、概ね選手に対して支配的なものであるが、西野選手はポーランド戦後、選手に「16強入りを素直に喜べない状況をつくってしまい、申し訳ない」と謝り、選手は「僕らが勝っていれば良かった話。そういう選択をさせてしまったことに責任を感じる」「今は選手全員が監督の判断にぶれることなくついていけている」と答えて、チーム一丸となった。

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