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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

3年間で5億円売り上げていた大阪城のたこ焼き屋さん、巨額脱税はなぜバレたのか?

文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

40年無申告でもバレない?

 店主は「脱税して得たお金は、主に預金していた」と話しているとのことなので、納税は比較的容易にできるかもしれません。

 脱税した理由については「外国人観光客の利用が増え、売上が急速に伸びたものの、忙しくて申告できなかった」と説明しているそうです。一方で、「家族でホソボソと営んでいて、申告の必要がないと思っていた」と、矛盾する発言も見られます。確定申告の必要性は理解していたが、40年間同じ場所で営業してきて、無申告を指摘されたことはなく、「どうせばれないだろう」と高を括っていたのかもしれません。

 もし、この売店が40年間無申告だとして、「そのようなことがあるのか」と聞かれると、ズバリ「あります」。無申告が続くと、そのお店や会社の情報がほとんどないので、申告しているかいないのかわかりません。仮に、税務署の職員がそのたこ焼き店に行ったことがあるとしても、屋号しかなく、従業員の名前も店長の名前もわからず、会社名もわからないので、申告内容を照会することもできません。屋号と会社名が異なっていて、正しく申告しているケースが多いですし、店頭で「申告していますか」と聞くわけにもいきません。

 このように、情報がまったく無い場合、その存在すら気づかずに、調査が行われないことがあるのです。

 今回の調査がなぜ行われたのかはわかりませんが、求人広告や取引先の記録から存在が発覚することもありますし、あまりにも活況を呈していれば、熱心な調査官が不審に思い、該当者が見つかるまで申告状況を確認し、どんなに探しても見つからないので「もしや無申告なのでは」と考えて調査に着手した可能性もあります。遡及して調査できるのは7年までなので。すでに時効になってしまった分もあったかもしれませんが、今回の一件が同業者への牽制になり、正しい申告が増えることを願います。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人

大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。著書に『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)、『お金持ちがしない42のこと』(Kindle版)がある。
さんきゅう倉田公式ホームページ

Twitter:@thankyoukurata

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