年金、破綻説や「保険料払うの損」はデタラメである…障害年金や遺族年金もついている
年金は「保険」である
次に、「損をするのではないか」という誤解です。
支払った保険料分を受け取る前に死亡したら損をする、それはその通りです。早く亡くなってしまった場合は、支払った保険料の総額を受け取れない可能性があります。ですが、亡くなると、もうお金は必要ありません。年金の目的は、あくまで亡くなるまでの生活費を支えること。何歳まで生きるかわからないリスクに備える「保険」なのです。
また、年金の支給額は、物価や賃金に合わせて調整されます。物価が上がれば、それに応じて支給額も上昇します(物価の上昇率より低く抑えられますが)。将来の物価の上昇リスクにも対応しているといえますね。物価が下がれば受給額も下がりますが、買うことができるモノやサービスの水準は保たれるでしょう。
その他、年金には老後に受け取る「老齢年金」だけではなく、障害や死亡への保険機能もあります。障害を負ったときに給付される「障害年金」や、世帯主が死亡したとき遺族に給付される「遺族年金」です。
上記の保障内容を知らずに民間の保険に加入している人は、必要以上に加入しているかもしれません。一度、障害年金と遺族年金について調べてみましょう。
フリーランスの人は注意!
先述した通り、会社員は給与から保険料が天引きされています。天引きされる厚生年金の保険料には、国民年金の保険料も含まれています。65歳以降には、少なくとも2つの年金が受け取れます。
注意が必要なのは、自分で保険料を納めなくてはならないフリーランスや自営業者の人。未納になると、老後の年金を受け取れないばかりか、いざというときの障害年金や遺族年金も受け取れません。
さらに、会社員と違い、厚生年金には加入できません。受け取れるのは国民年金だけ。2018年度の国民年金受給額は、満額(40年間納付)でも年間77万9300円。月額にしておおよそ6万5000円です。年金の保険料を支払ったうえで、iDeCoや国民年金基金などに加入するといった対策をとる必要があります。
これらの年金を増やす制度については、次回ご紹介します。
(文=井戸美枝/ファイナンシャルプランナー、執筆協力=瀧健/ファイナンシャルライター)