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村上春樹の小説、香港政府が「わいせつ図書」認定で「18禁」に…世界各国で議論呼ぶ

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『騎士団長殺し』(村上春樹/新潮社)

 村上春樹さんの長編小説『騎士団長殺し』が香港で「わいせつな性描写がある」として、18歳未満への販売を禁止されるとともに、出品予定だった香港ブックフェアでも開幕直後に撤去されてしまった。この決定は、香港で出版物などの審査を行う香港政府の下部機関「淫猥物品審裁処」が下した。

 決定を受け、香港の書店では『騎士団長殺し』をビニールで密封して立ち読みができないようにしたうえで、「18歳未満への販売や貸し出しはできない」という警告シールを貼るなど、まるで「エロ本」と同じ状態で店頭に並べられている。香港各紙が報じた。

『騎士団長殺し』が「わいせつ図書」に認定されたのは、7月上旬に香港の映画出版物管理当局に「村上さんの作品に露骨な性的描写がある」との苦情が寄せられたことがきっかけだ。香港政府は淫猥物品審裁処に判断をゆだねた結果、同処は19日に新聞で暫定決定を発表、26日に正式に告示した。24日に閉幕した香港ブックフェアでは、開幕翌日に中国語版の本が撤去された。

 これに対して、香港の21団体の市民2000人以上が香港政府を「世界の恥さらしだ」「香港の言論の自由が危機に瀕している」などと非難し、決定を撤回する署名活動を展開する騒動に発展している。

 日本の文学に詳しい李凱琳・香港理工大学講師は、香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の取材に対して、「村上さんの作品には性的な表現が出てくるが、問題は性的な描写を借りて、主人公の感情の変化を表しているだけだ。しかも、中国語版への翻訳発表から半年も経ってからの決定だけに、納得のいかないところが多い。これまでも香港当局の判断は画一的で、芸術性を一切考慮しない傾向が強い」と指摘している。

 これらの騒動については、香港ばかりでなく、イギリスのBBCやガーディアン紙、米CNNをはじめ、ドイツ、フランス、アルゼンチン、インドネシアなど世界各国のメディアが報じており、毎年ノーベル文学賞候補に名前が挙がる村上さんへの注目度の高さを表している。

 ドイツの国際ラジオ放送ドイチェ・ヴェレの中国語版サイト「この村上さんの新作には確かに性的な描写がいくつかある。だが過去の作品と比べて際立っているわけではない」と伝えている。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

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