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AIがリアルに弁護士や金融マンや地方の人々の仕事を奪い始めた

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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――証券会社のトレーディング、生命保険や損害保険の審査業務などでもAIが使われ、多くの人たちが仕事を追われています。AIに仕事を奪われた人たちは、今後どうなってしまうのでしょうか。

中原 金融はIoT(モノのインターネット)が遅れているので、これまで多くのマンパワーに依存してきました。しかし、AIの普及でそうした人たちは必要なくなりますし、単純作業だけでなく給料の高い人たちの仕事もなくなっていきます。

――AIは、弁護士や公認会計士など給料が高い専門職の仕事も奪っていきます。弁護士の仕事は「将来、お客さんとお酒を飲む接待だけになってしまうのではないか」といった冗談のような話も出ているようですが。

中原 人口減少のなかでGDPや企業の生産性を上げるために急速にAIを導入しようとしているわけですが、そのスピードがあまりにも早すぎると、いろいろなひずみが生まれてしまいます。雇用環境のいい日本にとっては、悪影響になると思います。

大企業があっという間に潰れる時代に

――新しい産業を興していくためにはその担い手が必要なわけで、そうした一時的な失業もまた「新しい産業を生み育てるためには必要だ」という見方もありますが。

中原 経済学者はみんなそんなことを言いますが、では新しい産業とはどんな産業ですか。確かに、新しい産業が失われていく産業よりも雇用を生めばいいですが、どう考えても失われる雇用のほうが大きい。アメリカを見てもそうです。アマゾンが失われたぶんの雇用を満たしてくれるかといえば、そんなことはありません。そのため、数社の企業が利益を独占してしまい、いわば利益の寡占化が起きてしまうわけです。利益が労働者に再配分されなくなってしまうというのは、雇用でも同じです。

――これからは「大学全入の時代になる」といわれますが、今の大学についてはどう思いますか。

中原 私は、4年制大学の仕組みはすでに限界が来ていると思っています。これまでは、大学の卒業生を企業が正社員として雇い、社内で仕事を教えてきました。しかし、今後はそうしたやり方はなくなっていくでしょう。

 地方に職能大学をつくり、企業が必要とする人材を育てるような仕組みが必要だと思っています。そして、そうした仕組みとセットで、地方は企業誘致を進めていったほうがいいのではないでしょうか。高等専門学校のようなシステムは企業からの需要もあるので、もっと増えてもいいと思います。

――地方に行けば自然があります。SE(システムエンジニア)などは、自然環境の豊かなところに仕事環境を移すことでストレスの緩和にもつながると聞いています。

中原 実際に、長野県などはそうした自然環境を売りにして企業誘致を行っており、日本無線は同県に研究所の大部分を移しました。研究者にとって自然というのは重要で、そうしたコンセプトで研究所の誘致をしたら評判がよかったそうです。最初は「人は雇えるのか」「暮らしはどう変わるか」といった心配もあったようですが、杞憂に終わったようです。

『日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業』 アメリカ人の借金の総額がすでにリーマン・ショック時を超え、過去最高水準を更新するなど、いま、世界では「借金バブル」が暴発寸前となっていることをご存じだろうか。翻って日本では、大企業の淘汰・再編、増税による可処分所得の減少、生産性向上に伴う失業者の増加など、日常生活を脅かす様々なリスクが訪れようとしている。まさに「国難」ともいえるこの状況に、私たちはどう立ち向かえばいいのか。いち早く「サブプライム崩壊とその後の株価暴落」を予見していた経済アナリストが、金融危機「再来」の可能性について警鐘を鳴らすとともに、大きく様変わりする日本の近未来を描く――。 amazon_associate_logo.jpg

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