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MRJ、納入ゼロのまま撤退説も…直近1年で受注ゼロ、大量キャンセル発生、債務超過膨張

文=編集部

 ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)は、ファンボロー国際航空ショーに先立ち、会場で開いた記者会見で「MRJに対する(支援の)義務は変わりない」と述べた。その一方で、エンブラエルの小型機事業の買収について「ボーイングの長い歴史のなかでも重要な出来事だ」と強調。「(三菱重工業とは)補完的な提携で、顧客により大きな価値と多くの選択肢を提供できる」とした。MRJの先行きに不透明感が残る。

債務超過1100億円、さらに膨れる見込み

 三菱航空機はMRJの開発費用の増加によって、18年3月期末時点で1100億円の債務超過に陥った。債務超過額は、17年3月期末に比べて2倍以上になった。受注は1年以上なく、1月末には米イースタン航空が受注総数の1割にあたる40機をキャンセルした。MRJは08年の開発開始から、これまで5度も納期を延期している。

 三菱航空機の第11期(18年3月期)決算公告によると、売上高はゼロ。営業損益は559億円の赤字、純損益は589億円の赤字、累積赤字は2100億円に上る。その結果、1100億円の債務超過となった。

 現在の確定発注は213機。ローンチカスタマー(1号機の納入先)の全日本空輸(ANA)への納入リミットは20年半ばだ。それまでの期間、毎年、赤字は500億円規模で膨れていくことになるとみられる。

 親会社の三菱重工業の宮永俊一社長は5月8日の会見で、今年度内に三菱航空機の債務超過を解消する姿勢を示した。

 三菱航空機の資本金は1000億円(資本準備金を含む)。三菱重工業が64%の株式を持つ筆頭株主で、三菱商事とトヨタ自動車が各10%、住友商事と三井物産が各5%保有している。債務の株式化(DES)と増資を組み合せた資本増強策で債務超過の解消を図る。

 だが、債務超過を解消できたとしても、抜本的な解決策にはならない。小型機市場が2強に集約された現在、MRJに勝ち目はないからだ。経済産業省が主導した計画では、20年をメドに日本政策投資銀行が株式の大半を買い取ったうえで三菱航空機を清算させ、新たに国主導でMRJの製造・販売会社を立ち上げるというものだった。この計画も、小型機市場が2強に集約されてしまった現在となっては、実現性は乏しい。

 結局、ボーイングがエンブラエルと共同で立ち上げる会社にMRJ事業を売却するしかないとの見方も多い。「今、断念(撤退)したほうが傷は浅い」と言い切る財界首脳もいる。決断の刻は迫ってきている。

 果たして、三菱重工業は社運を賭けた航空機事業から撤退することになるのだろうか。
(文=編集部)

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