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AI導入で1億総「日雇い労働」経済へ…すでに企業はAI本格導入の準備完了

構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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――では、どのようなかたちで経済政策を考えればいいのでしょうか。

中原 AIの導入で生活は便利になるけれど、雇用はどうなるのか。その影響は消費にも跳ね返ってきます。そもそも、シェアリング経済自体が消費を必要としていないのです。

――循環型社会は消費を生まないと。

中原 循環型社会が悪いと言っているわけではありません。ただ、消費は生まない。雇用という視点で見ると、経済が回っているという前提で雇用が拡大してきたので、消費が伸びなければ雇用も伸びない。それでも食べていける社会を模索しないといけないのです。

――具体的にはどのような仕組みですか。

中原 私は「AI税」しかないと思っています。企業が使うAIやロボットに課税する仕組みです。今、アメリカの企業経営者は「AIをどのくらいのペースで導入すれば批判を浴びないか」を話しています。本当は思い切りやりたいのですが、大量に解雇すれば社会から反発を浴びるので、どうすれば穏便にAI導入を進められるかを考えているのです。

――AIの導入が遅れれば、グローバルの競争に負けるのでは。

中原 しかし、大量解雇などで反感を買えば不買運動などにつながる可能性もあるわけですから。やっぱり、企業は世論の反発を恐れているわけですよ。一方、日本ではまだそこまでの議論に至っていません。

安倍政権、日銀の国債買い増しを指示か

――このまま好景気が続くのは考えにくいと思います。日本銀行が国債を買って市場に資金を供給していますが、すでに日銀のバランスシートの8割は日本国債が占めています。これが大暴落すれば大変なことになると思います。国債がさらに発行され、日銀は新札を発行して買い増す可能性も出てきています。

中原 安倍首相の側近は「さらに買い増ししろ」と言っている。だから怖いんですよ。しかし、それをやってしまえば、いわば防波堤が崩れてしまいます。

――では、そうした政策を止めることはできるのでしょうか。

中原 側近は「やれ、やれ」と言っていますが、その後にどんな副作用が出るのかわからない。そのあたりの批判が自民党内から出てこないのが問題ですね。ただ、それでなんとかなるのならすでにほかの国がやっているし、そもそも財政危機なんて起きていませんよ。

――そうしたことをやらなければ、アベノミクスは続けられないのではないでしょうか。

中原 何が担保になっているか、それが国民に説明されていない。担保は国民の預金ですよ。あとは企業の預金です。ほかの国が財政危機に陥ったのは、担保がなかったからです。それらの背景を国民も理解しなければなりません。終戦後の日本国民がどんな生活をしていたのか、もう一度思い起こしてもらいたいですね。
(構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

『日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業』 アメリカ人の借金の総額がすでにリーマン・ショック時を超え、過去最高水準を更新するなど、いま、世界では「借金バブル」が暴発寸前となっていることをご存じだろうか。翻って日本では、大企業の淘汰・再編、増税による可処分所得の減少、生産性向上に伴う失業者の増加など、日常生活を脅かす様々なリスクが訪れようとしている。まさに「国難」ともいえるこの状況に、私たちはどう立ち向かえばいいのか。いち早く「サブプライム崩壊とその後の株価暴落」を予見していた経済アナリストが、金融危機「再来」の可能性について警鐘を鳴らすとともに、大きく様変わりする日本の近未来を描く――。 amazon_associate_logo.jpg

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