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松村太郎「米国発ビジネス&ITレポート」

声すら不要…SONOSスピーカーが、驚異的な顧客リピート購入率を誇っている秘密

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 まず、Amazonは、いつでもSONOSからAlexaを取り上げることができる。そしてその可能性はゼロではない。音声アシスタントを搭載する製品は多数用意されており、Amazonもそのエコシステムの広がりを、現時点ではアピールする。しかし、自社製品より目立つようになった際、Amazonはいつでも、サードパーティー製品を“喋らない単なるスピーカー”に追いやることができる。

 また、販売チャネルのリスクもある。SONOSがAlexa以外のGoogleアシスタントやSiriをサポートするスピーカーとなり、またAlexaを取り上げられた状態となった場合、Amazon.comでの販売ができなくなる可能性がある。これまでAmazonは、同社のセットトップボックス「Fire TV」の競合となるApple TVやChromecastをAmazon.comから排除してきた。その文脈からすれば、SONOSもAmazon.comから排除される可能性があるのだ。

 そしてもうひとつは、SONOSが単なるデバイスメーカーに成り下がるリスクだ。Appleは自社でハードウェアからソフトウェア、アプリストアまでを揃え、スマートフォン市場の9割の利益シェアを誇る。赤字のデバイスメーカーも含めれば、Appleの利益シェアは100%を超える。Androidスマートフォンは世界の85%のシェアを獲得していながら、利益が出ていないのだ。

 スピーカーにおける音声アシスタントがOSとして顕在化すれば、スマートフォン市場と同じことが起きる。すなわち、ハードウェア、音声アシスタントを開発するGoogleやAmazon、Alibaba、Appleのみがビジネスモデルを成立させ、SONOSはスピーカー市場において、BoseやBeatsと同様に、利益の上がらないビジネスに成り下がることを意味する。

先行するマーケット展開と、ブランド価値

 しかし、SONOSを使っている限りにおいて、音声アシスタント主体のスピーカービジネスの勢いは、さほど心配する必要がないかもしれない。SONOSにはモダンな音楽を楽しむ体験を成立させるというブランドがある。残念ながら、Apple以外のスマートスピーカーが、SONOSを脅かすブランドに成長しているとはいえない。そしてスマートスピーカーの音楽を聴く機能性を比較すれば、SONOSはいまだAppleを上回っている。

 SONOSは株式公開によって1億ドルを調達することになる。このコストが、AIと音楽と我々のライフスタイルの関係をつくり出す可能性に使われると、おもしろい未来が待ち受けているのではないだろうか。
(文=松村太郎/ITジャーナリスト)

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