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海外と異なる日本の消費の特徴
西友が苦戦したのは、特売で集客を図る競合スーパーの存在も大きかったといえる。日本の消費者は、特売の際に物を買う習慣が根づいてしまっている。特に主婦は「今日は○○が安いから、これを買って△△を作って食べよう」などと考え、スーパーで特売品を買うことを楽しみにしている人が少なくない。EDLPのスーパーではこうした消費者の楽しみを奪ってしまうことになるため、よほど安くないと、なかなか消費者に受け入れられない。西友はこうした楽しみを奪って余りあるほどの安さを提供できなかったといえるだろう。
また、生鮮品の品ぞろえで競合店を凌駕することができなかったことも大きい。これは、ウォルマートの不得意分野ともいえる。米国は国土が広いため冷凍品を使用するケースが多く、生鮮品の重要度が日本ほど高くはないが、日本では地場の新鮮な生鮮品をどれだけ並べられるかが勝負の分かれ目となるため、調達力が重要となる。だが、ウォルマートにその点においてノウハウがあるとはいえず、生鮮品の調達で力を発揮することができなかった。
ちなみに、かつてカルフールなどの外資系スーパーが日本で苦戦したのも、この理由によるところが大きい。
以上の理由が重なったことで、ウォルマートによる西友の改革は失敗に終わってしまった。その結果、ウォルマートが西友を売却する可能性が高まっているが、今後は売却先がどこになるのかが焦点となりそうだ。イオンやドン・キホーテ、楽天などが取りざたされ、投資ファンドも有力視されているが、西友の店舗の老朽化が懸念材料に挙げられるなど、積極的な買い手がいないともいわれている。果たしてどの企業に売却されることになるのだろうか。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
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