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6月25日に事業再生ADRを申請して経営再建を目指す田淵電機。その復活への道を探る。
7月4日に事業再生ADRの第1回債権者集会が開かれ、田淵電機は金融機関から「借入金の一時棚上げ」について、正式に了承を得た。別の言い方をすれば、すでに事業再生ADRを申請した時点で借入金の棚上げ要請をしていたわけだが、これが正式に認められたかたちとなった。
事業再生ADRとは、民事再生法や会社更生法などの法的申請とは異なり、裁判所を通じて負債処理を行う再建方法ではなく、当事者間の話し合いで債務処理を行う手続きである。このため裁判所ではなく、法務大臣および経済産業省が認定した第三者機関である事業再生実務家協会が管理、当事者間(田淵電機と金融機関)で話し合いを行うことになる。取引先との一般債務などは通常通り履行され、業務は継続する。破産などの経営破綻とは大きく異なるが、経営不振が深刻化している事態であることは否定できない。
田淵電機の連結決算上では、18年3月期末で短期借入金は80億9400万円、長期借入金は17億8800万円となっている。ただ、これは海外を含めた連結決算上の借入金で、会社側では今回のADR対象となる国内3社の金融借入金は総額83億5000万円とコメントしている。
経営悪化の要因を整理する
そもそも、なぜ田淵電機の経営はそこまで悪化したか。15年3月期に532億円の売上があった同社は、そこから18年3月期まで3年連続の減収で、ついに18年3月期の売上高は264億円にまで低迷している。3年間で半減していることになる。17年3月期から利益も赤字で、18年3月期は88億円の最終赤字。そしてそれより深刻なのは、18年3月末時点で実に自己資本比率が5.6%にまで低下しているという状況である。2年前の16年3月末には自己資本比率は44.4%あったのだが、急降下となった。