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米ハーバード大学、入学審査でアジア系志願者に差別的な措置か…考察:東京医科大女子一律減点

文=大野和基/ジャーナリスト

アファーマティブアクション

 アメリカでは、黒人、少数民族、女性など歴史的構造的に差別されてきた集団に対し、雇用、教育などで優遇する策として「アファーマティブアクション」という政策がある。これが、先述したバッキ訴訟のように、医学部の100人定員の中で16人をマイノリティにするというようなquota system(割当制度)をつくり出したのである。このために白人が逆差別を受けるケースが出てきていることは確かである。

 かつて有名大学で、学力で白人より優秀だったユダヤ系アメリカ人の入学数を制限するために、ユダヤ人の点数を下げていた。これは東京医大の女子受験者の点数を下げることと類似している。

 アメリカの大学入試では、人種枠ごとに割当があり、アジア系は他人種以上に成績を上げることが必要となるといわれている。それは社会に出てからも同じである。同じ目的を達成するには、アジア系は白人の何十倍も努力しなければならない。また、アメリカは日本人が考える以上に男性社会であって、女性が男性と同じ目的を達成するには男性の何倍も努力しなければならない。

 成績だけで決めることが公正であるという日本人の考え方は、アメリカでは通用しない。日本では2020年度から大学入試が変わるが、本当に社会に貢献できる人を育成するのが大学ではないだろうか。成績だけを基準にすると、明らかに医師に向いていない人が医師になることがある。

 点数だけではなく、その人が本当に人を助けたいと思う純粋な気持ちがあるかどうかをもっと重視すべきではないだろうか。また、僻地に行きたがらない医師が増えているとの指摘もあるが、医師としては過疎地に進んでいく気持ちはすこぶる重要ではないだろうか。東京医大が女子受験者の点数を一律に下げていたことだけを取り上げると、誰もが許せない気持ちになるが、レガシー制度や人種別の割当が今でも存在するアメリカの入試制度から、日本の入試制度をみることも、考える糧になるのではないだろうか。
(文=大野和基/ジャーナリスト)

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