なぜ早稲田より慶應が就職で有利なのか?地方から早慶に入学する意味はあるのか?

慶應義塾大学の慶應義塾図書館・旧館(「Wikipedia」より/Wiiii)

「私学の雄」と評される早稲田大学慶應義塾大学には、学内ヒエラルキーをはじめ学生の気質から受験の現場に至るまで、大きな変化が起きている――8月8日付記事『早稲田と慶應にトップ高校出身者が行かなくなった理由…「早慶より地方の国公立」が鮮明に』では、両大学をあらゆる角度から徹底比較した『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)の著者でライター・編集者のオバタカズユキ氏の話をお伝えした。

 オバタ氏によると、地方のトップ高校の“早慶離れ”が進んでおり、東京大学や一橋大学など超難関国立大との差も広がりつつあるという。今回は、早慶の学生気質の変化や就職事情、大学業界の課題などについて、さらにオバタ氏の話をお伝えする。

コミュ力の慶大生、多様性の早大生

――学生生活に変化はあるのでしょうか。

オバタカズユキ氏(以下、オバタ) 昔に比べて勉強していることは間違いないです。昔は授業で出席をとらないのが当たり前でしたが、今は文部科学省の方針もあり、出欠管理が厳重になっています。学生の間でも、授業に出ないと「なんで?」という空気が醸成されています。

 私は今53歳ですが、我々が学生だった頃は休講になると喜んだものです。しかし、今はどの大学でもクレームを入れる学生が必ずいます。「高い授業料を払っているのだから、授業を受けるのが当たり前」とコスパで考える学生が増えているようです。

 ただ、早慶でも居眠りや私語は問題になっています。我々の頃は、そうした学生はそもそも授業に出なかった。「聞く気がないなら、出席しないほうが合理的」というわけですが、大学側もあの手この手で出欠を管理するので、学生も出ざるを得ないようです。そのため、授業に出て勉強はしているけれど、昔に比べて優秀になっているかといえば、そうともいえないと思います。

『早稲田と慶應の研究』(小学館/オバタカズユキ)

――いわゆる「早稲田らしさ」「慶應らしさ」といった学生気質のようなものは今でも健在なのでしょうか。

オバタ 基本的な傾向は昔とあまり変わっていません。慶應はコミュニケーションが上手で、まわりに自分を合わせる学生が多くいます。学部にもよりますが、2年から3年への進級時にキャンパスが日吉(横浜市港北区)から三田(東京都港区)に変わり、そこでグッと大人になります。三田の学生を取材すると、ほとんど社会人の受け答えと変わりません。ゼミや「三田会」などでOB・OGとの縦のつながりが日本一強いといわれ、大人とのやりとりに慣れているからです。ちゃんとした敬語や相手との距離感、自分の意見を“ほどよく”言うといった対応は見事です。意地の悪い見方をすれば、企業の広報としゃべっているような予定調和感があります。この傾向が、今は昔より強くなっているかもしれません。

 早稲田は学生の優劣の差が激しいですね。背景には、慶應ほど同調圧力が強くないという校風もあると思います。そして、今や「バンカラ」「在野精神」といった早稲田を象徴する言葉の意味をわかっている学生は少数派のようです。ただ、取材中には夏休み明けのキャンパスで「久しぶりでなんかうれしかったから」と校歌を歌う関西なまりの2人組に出会いました。今も、早稲田の校風にひかれて進学する学生は一定数いるようです。

 学生に「早稲田らしさがなくなったのでは?」と聞くと、「今50代の人が学生のときも言われてたんじゃね?」「30年後、俺らも同じことを言っていると思う」という返答が多くありました。早大生らしい相対化の仕方だと思います。

 通信大手の人事担当者は、内定者懇親会での立ち居振る舞いを見て「誰が慶應で誰が早稲田か、自信を持って当てられる」と言っていました。その程度には、今も早慶特有の学生気質はあるのだと思います。

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