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松村太郎「米国発ビジネス&ITレポート」

米国、InfoWars騒動が加熱…人気陰謀論者をアップルやグーグルが排除

文=松村太郎/ITジャーナリスト

きっかけとなったアップル、影響が大きなYouTube

 これまで、環境問題、移民問題、銃規制などの倫理的な施策に関して、シリコンバレーにおけるリーダーはアップルだった。特にこれらの政策は現在のトランプ政権とは異なる立場であり、アップルがリーダーシップを取って異なる意見を述べ、その他の企業もこれを追随する、という構造だった。

 今回のジョーンズ氏、InfoWarsのコンテンツの扱いについても、アップルが判断を下して行動し、これにフェイスブック、グーグルが続くという流れとなった。
アップルはジョーンズ氏のポッドキャストのコンテンツそのものをホストしているわけではない。ポッドキャストのリンクをディレクトリに載せ、検索可能にし、ポッドキャストアプリやiTunesで視聴できるようにしているだけだ。その点で、コンテンツそのものをホストしているフェイスブックやYouTubeとは異なる立場、と指摘することはできる。

 その一方で、アップルも同社が動くことによる影響を鑑み、ポッドキャストディレクトリからの削除に踏み切った。結果として、いつも通り、他の企業もならって対応を行ったことになる。

 このなかで、ジョーンズ氏にとって直接的な収益源となっているのは、アップルでもフェイスブックでもなく、グーグルのYouTubeプラットホームだ。チャンネル登録者数250万人、累計視聴数は10億回に上る。ご存じの通り、ユーチューバーはYouTubeの再生回数に応じた広告費の分配を得ることができるからだ。

InfoWarsの行方

 今回の削除について、ジョーンズ氏は直接コメントを発表していない。しかしInfoWarsのウェブサイトでは「検閲」だと以下のとおり批判している。

「これは現代における電子焚書と同等だ。反体制派の声が大きすぎ、影響力を持ちすぎたことを理由にした、ビッグテック企業の強制収容所送りだ。これは粛正だ。選挙への干渉であり、陰謀だ」

 InfoWarsのウェブサイトでは、検閲された情報が見られるアプリを宣伝している。また多くのビデオやポッドキャストエピソードも、ウェブサイトを通じて配信中だ。

 大手IT各社の対策の遅さや、結局アップルが音頭を取らなければ動かなかったこと自体も、テクノロジー業界、シリコンバレーがフェイクニュースやヘイトスピーチに対してまだ敏感になっていない現状を表わしている。
(文=松村太郎/ITジャーナリスト)

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