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西友、売却が迷走…カギ握るドンキとニトリ、不採算店舗外し「切り売り」も

文=編集部

楽天も有力候補

 楽天も有力候補だ。米ウォルマートは今年1月、それまで組んでいたディー・エヌ・エーとの提携を解消し、ネットスーパー事業で楽天と提携すると発表した。3月に合弁会社、楽天西友ネットスーパーを設立し、楽天西友ネットスーパーを8月14日にスタートさせた。

 ネット通販の巨人、米アマゾン・ドット・コムは昨年、米高級食品スーパーのホールフーズ・マーケットを買収し、ネットとリアル店舗の融合を実現させた。野菜や肉などの生鮮食品を扱うネットスーパーへの本格進出を目指している。アマゾンのネットスーパーに対抗して、ウォルマートと楽天が手を組んだ。会見時に楽天の三木谷浩史会長兼社長は「世界でも類を見ない強力なタッグ」と自画自賛した。もし、楽天が西友を買収すれば、西友の店舗はロゴを一新した「Rakuten」に変わることになる。しかし、他社が西友を買収すれば、楽天がアマゾンに抵抗するために構築したウォルマートとの共同戦線は空中分解するかもしれない。

 しかも、楽天は携帯電話事業への参入を表明しており、基地局などに多額の設備投資が必要だ。西友買収に手を挙げるためには、買収資金の一部を負担してくれるパートナーが不可欠だ。楽天が強力なスポンサーを探し出すことができるかにかかっている。ウォルマートは店舗の一括売却を目指しているが、「西友は不採算店が多く、切り売りされる可能性がある」(国内の流通大手のトップ)。

イズミとニトリ

 その場合、有力な受け皿候補となるのが、中国・四国・九州が地盤のイズミだ。イズミは「西日本の小売業の雄」と呼ばれ、23年2月期に売上高1兆円を計画している。その目標を達成するために17年5月、ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長を社外取締役に招いた。イズミはモール型ショッピングセンター「ゆめタウン」が主力事業で、売上、利益の半分を九州地区で稼ぐ。九州ではイズミはイオンモールと勢力を二分している。

 西友は食品を軸とした低価格戦略を進め、大型店を売却してきた。これまでにも、イズミには西友の店舗を取得した実績がある。15年に西友から福岡県と熊本県のスーパーを取得し、食品スーパー「ゆめマート」に改装した。18年には西友の旗艦店であった「ザ・モール周南」(山口県下松市)と「ザ・モール姫路」(兵庫県姫路市)の2店の経営権を取得し、年内にイズミのショッピングセンター「ゆめタウン」に看板を掛け替える。

 西友は2001年、福岡市の地場最大手百貨店・岩田屋(現・岩田屋三越)傘下のスーパー「サニー」を買収し九州の店舗を大幅に増やし、現在、サニーを60店舗以上展開する。イズミが西友傘下のサニーを買収すれば、九州ではイオンを上回る最大手となる。イズミの西友獲りの成否は三顧の礼をもって招いたニトリHDの似鳥昭雄氏が握っているといっても過言ではない。

「ニトリは西友の関東の店舗を狙っている」(国際M&A筋)との見方が有力だ。ニトリが西友買収の台風の目になるかもしれない。

 ウォルマートは、西友の売却方針を固めたと報じられたことについて「西友を売却することは決定していないし、いかなる売却交渉もしていない」と声明を出したが、すでに売却に向けての動きは加速している。西友の売却先をめぐり、流通業界は“酷暑の季節”に突入した。
(文=編集部)

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