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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

高齢者の間で「意外な大ヒット商品」が続出している理由

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

シルバー市場は相対的に拡大傾向

 ときには最新テクノロジーに逆行することも重要だという。

「1~2人で使用する家電は“捨てる発想”が必要です。スマホを見てもわかるとおり、企業は差別化のために多機能化を訴求したくなりますが、操作の複雑化は使う前から敬遠されてしまったりと、シルバー市場では裏目に出ることもあります。身辺整理が大きな課題であるシルバー世代にとって、厳選された家電だけでの生活が理想。そう考えると、使い慣れたシンプルな家電こそ、高齢者には好まれる傾向にあります」(同)

 若者の間では、物を必要以上に持たないミニマリストというライフスタイルが流行っているが、高齢者の多くはそのミニマリスト。たくさんの機能はいらないのである。

 だが、高齢者ばかりに目を向けて商品を展開するほどのマーケット規模が、シルバー市場にはあるのだろうか。

「確かに、現状は企業がマスマーケットを狙うとしたら、もっと若い世代を狙うのが一般的。ですが、今後も高齢者の割合は増え続ける上に、若者世代はどんどんと物を買わなくなっています。若い人の間でも商品機能の複雑化にうんざりしている人も少なくないでしょう。そう考えると、今後はシルバー視点での商品探索や製品開発がビジネスチャンスに大いになり得るのです」(同)

 超高齢社会となる将来に対して不安は募るばかりだが、マーケティング的観点からみれば、必ずしも悪いことばかりではないようだ。マスマーケットの変化として現状を柔軟に受け入れる意識が、各企業に求められている。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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