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安倍政権が検討するサマータイム、睡眠不足で多大な健康被害…時計修正など膨大な手間

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アスリートにも大きな影響

 そんな面倒なサマータイムを、なぜ導入しようというのだろうか。

「アメリカでやっているからでしょう。世界70カ国でもやっているので、なんとなくよさそうだというのがひとつ。主に高齢者の『若い人はもっと努力を』『勤労は美徳』的な哲学も影響大だと思います。年寄りは早起きなので、早起きはいいことだと思っている。若者に決定権があるなら、むしろ逆に時計の針を戻すと提案するはずです。2時間戻せば深夜零時が午後10時になるので、まだまだ起きていられますからね」(西多氏)

 では、サマータイムは東京五輪でアスリートに影響を与える可能性はないのか。

「サマータイムとアスリートのパフォーマンスに関する研究を調べてみましたが、まったく論文がありません。日本ではリスクがあまりに大きい、未知の世界ですね。深部体温が一番上がるのが夕方なので、夕方の競技で世界記録が更新されることが多いのです。逆に朝はまだ目が覚めていませんから、アスリート的にはよくない。でも、37℃のなかを走れと言われても困りますけどね。また、サマータイムだと夕方の時間が増えるので、午後の競技をまだ気温が高いうちにやることになります。ぜんぶ午前中に競技を終わらせるならともかく、午後の競技をどうするつもりなんでしょうか」(同)

海外では自殺者増加

 時計の針を2時間進めるだけというが、確かに腕時計なら簡単な話だ。しかし、ありとあらゆるシステムの時間を進めるのは膨大なコストと手間がかかる。通勤通学の足となる交通機関も、サマータイムが導入されれば朝早く電車を動かさねばならない。では終電を夜10時にできるかといえば、それも困難で、結果的に交通機関に勤務する従業員は長時間労働を余儀なくされるかもしれない。西多氏はこう続ける。

「諸外国では夏時間に移行すると午後の交通事故が増えます。生体リズムの失調による自殺者も増加します。私だけじゃなく、日本睡眠学会も全員が反対しているんです。睡眠に対するまともな知識があれば、サマータイムなんてまずやろうと思うはずがない。本来の目的である省エネも、日中のエアコン稼働が増えるので疑問です。暑い日中の五輪・パラリンピックは、選手はもちろん観客やスタッフ、ボランティアの体調管理のほうが懸念されます。

 東京五輪でアスリートの記録を出すためといいますが、夏の東京でやる時点で記録はもう諦めてくれと言っているようなものです。体内時計だけ考えれば、朝早い競技ほどアスリートにとっては不利です。サマータイムの導入は日本の場合は百害あって一利なし。日本で猛暑日の午後3時に終業時間を迎えても、人々はどうするんですか。外は暑いから会社の中で仕事でもしてよう、となりかねません」

 サマータイム導入が見送りになることを、祈るばかりである。
(文=編集部)

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