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鈴木祐司「メディアの今、そして次世代」

「中高年向け」テレ朝、視聴率2位の裏で深刻な事態…バラエティ壊滅的、広告収入低迷

文=鈴木祐司/次世代メディア研究所代表

 テレ朝のドラマは3枠。水曜9時の「刑事ドラマ」枠、木曜8時の「木曜ミステリー」枠、そして木曜9時の自由枠だ。このうち水曜9時「刑事ドラマ」枠の視聴率は安定している。直近6年は年間平均13~14%台を保っており、14年度まで拮抗していたフジテレビ“月9”が16年度以降1桁となっているのと大差がついている。木曜8時「木曜ミステリー」も15年度こそ1桁だったが、他はずっと2桁と健闘している。実はこれら2枠は、シリーズ化させたドラマが大半だ。

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「刑事ドラマ」枠では、水谷豊主演の『相棒』が02年以降毎年放送され、すでにseason16まできている。年間4クール中2クールを占めており、ずっと15%以上をとるので平均値を大きく押し上げている。

「木曜ミステリー」枠でも、沢口靖子主演の『科捜研の女』が1999年以降毎年のように放送され、すでにseason17となっている。こちらも10%台前半をキープしており、同枠の平均値を維持するのに大いに貢献している。
 
 ほかにも両枠には、渡瀬恒彦主演の『警視庁捜査一課9係』が06~17年にかけseason12まで放送された。そして同シリーズを受け継いだ井ノ原快彦主演の『特捜9』が今年から始まっている。上川隆也主演の『遺留捜査』もシリーズ5まで来ている。東山紀之主演の『刑事7人』もシリーズ4、内藤剛志主演の『警視庁・捜査一課長』はseason3と、シリーズ化させたドラマがどんどん増えているのである。

 これらのドラマは、軒並み2桁を維持している。初回が高いのが強い。ドラマの認知度が高くなり、世界観を多くの視聴者がすでに共有しているので番宣が楽なのである。しかも同局は平日午後帯に3時間もドラマの再放送枠をもっている。この枠を活用して、新シリーズ放送開始に併せ旧シリーズの再放送を繰り返すことで、屈強な番宣が可能なのである。

 シリーズ化は「刑事ドラマ」枠や「木曜ミステリー」枠に限らない。実は木曜9時の自由枠でも多用されている。米倉涼子主演の『ドクターX』が5期。沢村一樹主演の『DOCTORS』が第3シリーズ。天海祐希主演の『緊急取調室』がSECOND SEASONまできている。

 以上の結果としてテレ朝のドラマ枠は、13年から18年夏まで23クール69ドラマ枠中、50枠がシリーズドラマで占められた。なんとほぼ4本中3本を占める。

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

鈴木祐司/メディアアナリスト、次世代メディア研究所代表

東京大学文学部卒業後にNHK入局。ドキュメンタリー番組などの制作の後、放送文化研究所、解説委員室、編成、Nスペ事務局を経て2014年より現職。メディアの送り手・コンテンツ・受け手がどう変化していくのかを取材・分析。特に既存メディアと新興メディアがどう連携していくのかに関心を持つ。代表作にテレビ60周年特集「1000人が考えるテレビ ミライ」、放送記念日特集「テレビ 60年目の問いかけ」など。オンラインフォーラムやヤフー個人でも発信中。
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Twitter:@ysgenko

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