ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal
タダでガチャ回し放題「不正課金」の裏側
――「インストールや起動を操作して広告費をかすめ取る」という不正の手口についてお話いただきましたが、一方で「課金を操作する」ということは可能なのでしょうか?
佐々 ゲームでは「不正課金」という問題があります。スマホのゲームアプリでアイテムなどを購入すると、ゲームアプリはGoogleやAppleと通信を行い、「いくら購入した」というレシートがゲームアプリに戻る仕組みになっています。しかし、“脱獄端末”【※1】などを使い、実際は1銭も課金していないのに、GoogleやAppleからゲームアプリにレシートが返ってきたかのように見せる手口があります。そうすると、ユーザーはお金をかけずに、そのゲームをいつまでもいくらでも遊べてしまいます。
また、課金なしでガチャ【※2】を回せるため、そこで手に入れたレアキャラクターを持つアカウントなどをオークションサイトなどで販売し、金銭に変えるケースも以前はありました。ただ、多くのゲームではアカウントやキャラクターをネットオークションなどで売買する行為は“一発退場”で、アカウント削除になることがほとんどですね。
Adjustでは、こうした不正課金の判別機能も提供しています。ただ、不正課金はゲームの運営側でもある程度把握はできます。明らかにゲームの進捗状況が良すぎたりしますから。問題ではありますが、比較的見つけやすく対策もしやすいといえます。
一方、不正インストールは測定しない限り把握できません。組織ぐるみで行われるケースが多く、被害金額も大きいという点で、不正課金より不正インストールのほうが大きな問題ですね。
――確かに、不正課金の場合は「タダで遊ばれる(ただし、検知はしやすい)」という意味で「取れるはずのお金が取れない」ですが、不正インストールは「かけた広告費を無意味にかすめ取られる」ですからね。では、アドフラウドによる一般ユーザーのデメリットはなんでしょうか?
佐々 アドフラウドは「アプリ事業者の広告費をかすめ取る」行為のため、ユーザー側に直接的なデメリットはないですね。しかし、アドフラウドがなければアプリの開発にもっと費用をかけられたかもしれないのに、それが無意味にかすめ取られているという意味では、「まわりまわってユーザーも損をしている」と言えるかもしれませんね。
不正の手口は日々巧妙化しており、当社も不正検知ツールの改良を続けています。今後も、不正を測定できるツールを提供することで、不正が存在しづらい広告の仕組みづくりに貢献していきたいですね。
――ありがとうございました。
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