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くら寿司、客離れが深刻な事態に…サイドメニューの魅力低下、騒動連発でイメージ悪化

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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トラブル続出でイメージ悪化

「イメージの悪化」も、客離れの要因になっているだろう。16年の3月ごろに起きた、運営会社くらコーポレーションの裁判騒動がそのひとつだ。

 この騒動は16年3月に無添くら寿司について、あるネットユーザーがネット掲示板上に「無添という表現はイカサマくさい」などと書き込んだことが始まりだ。屋号に“無添”を冠していることや無添加を謳っているものの、ホームページなどで4大添加物以外の添加物の使用の有無を表示していないことから、「何が無添なのかがわからない」と疑問を呈したのだ。

 これに対し、くら社は「社会的評価が低下する」としてプロバイダー業者に、書き込みをした人物の個人情報の開示を要求した。しかし、プロバイダー業者は「書き込みは意見・論評にすぎない上に真実だ」として開示を拒否した。

 騒動の発端から約1年経過した17年4月、東京地裁はくら社の請求を棄却した。「書き込みはくら社の社会的評価を低下させるものではない。仮に低下があり得るとしても、書き込みには公益性があるため、違法性はない」との判断を下している。

 この騒動と、くら寿司で客離れが起きた時期は概ね一致している。つまり、騒動でくら寿司のイメージが悪化し、客離れが起きたと考えられる。

 くら社は10年にもイメージ悪化につながる騒動を引き起こしている。「内定取り消し騒動」だ。同社が研修で社訓を35秒ほどで言えない内定者に対し、入社辞退を求めたと毎日放送が報じ、のちにTBSもこれを番組で紹介し、くら社がそれに反論する騒動となった。この騒動でくら寿司のイメージは悪化した。

 こうした経緯があり、「くら寿司は騒動を引き起こすすしチェーン」というイメージが少なからず消費者に根づいてしまったと考えられる。真摯に対応すれば済む問題を、下手に反論してしまい、自ら悪いイメージを広めてきた感が否めない。このような騒動を引き起こす店を好んで利用する人は多くないだろう。

 最近でいえば、親子喧嘩で業績を悪化させた大塚家具が似たような例だ。親子喧嘩をしている店の家具を好んで買いたい人はいないだろう。大塚家具もくら寿司も、騒動でイメージが悪化し、客離れを起こしたといえるのではないか。

 このように、くら寿司は「サイドメニューの優位性の低下」と「イメージの悪化」で客離れが起きていると考えられる。離れた客を取り戻すには、すしとサイドメニューの強化はもちろん、イメージアップの施策が欠かせないだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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