LINEはもう「LINE」じゃない…ある事業が利益爆増、本当に銀行を超えるかもしれない


 現在、ラインのユーザーは7000万人を超える。これは、国内最大手の三菱UFJ銀行の個人口座数(4000万)を上回る。ラインの取り組み次第では、同社のフィンテック事業が銀行など既存の金融機関が提供してきた資金決済などのサービスを上回る人気を獲得する可能性もある。

ラインに期待する取り組み

 すでに、中国のIT大手アリババが提供するモバイル決済サービスのアリペイ(支付宝)は、5億人を超えるユーザーを確保している。世界のIT先端企業に比べれば、わが国で存在感を示しているラインも小粒に見えてしまう。

 今後、ラインに期待したいことは、ユーザーにとって使いやすく、利用者が安心できるネットワーク上のプラットフォームを整備することだ。ユーザーが安心して同社のプラットフォームを利用するためには、明確なデータ保護の指針策定が欠かせない。それは、同社だけの取り組みで実現できるものではないだろう。むしろ、データ保護への取り組みは、個々の企業レベルではなく、社会全体で取り組むべきだ。それが進むか否かで、今後のIT先端企業の競争には大きな差が出るだろう。

 足許、米国のフェイスブックやツイッターの利用者が減少すると懸念する市場参加者は多い。なぜなら、自分が発信した情報などに関するデータが秘密裏に収集され、意図せざる使われ方をしていると不安を感じる人が増えているからだ。そのため、世界的にハイテク企業の株価は軟調だ。

 すでに、EUでは一般データ保護規則(GDPR)が施行された。米国やわが国でも、IT先端企業のデータ利用に関する規制は強化されるだろう。それは必要なことだ。同時に、企業が新しい取り組みを進めるダイナミズムを支えることも大切だ。この両方の発想を満たすためには、官民が連携して、あるべきデータ保護規制の内容を議論する必要がある。

 現状、多くのIT企業は、人海戦術で偽アカウントの摘発や、データの保護に取り組んでいる。ラインの人件費増加も、この動きと無関係ではないだろう。しかし、人手に頼ったデータ保護は、いずれ限界に達するはずだ。

 人工知能など、新しいテクノロジーを用いて、個人のデータを保護することができれば、その企業の競争力は高まるだろう。それが、モバイル決済などフィンテック事業の成長を支えるはずだ。ラインには、テクノロジーを活用して新しいデータ保護の方法を実現することを期待したい。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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