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シャープ、ホンハイから中国企業へ転売との観測流れる

文=編集部
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パソコン事業に再参入

 シャープは東芝のパソコン(PC)子会社、東芝クライアントソリューション(TCS)の株式80.1%を約40億円で取得する。子会社にするのは10月1日の予定。東芝はPC事業の保有株式の比率を19.9%に下げ、連結対象から外す。一方、シャープはPC事業に再参入する。

 かつてシャープは「メビウス」ブランドでノートPCを手がけていたが、10年に撤退した。戴社長は17年4月、「IT機器で再び市場に参入したい」と語り、PC事業への再参入を視野に入れてきた。

 戴氏は東芝のPC事業を買収した大きな理由のひとつとして、「400人のIT技術者が獲得できる」ことを挙げた。人工知能(AI)やIoTビジネスの部隊を強化するのが狙いだ。

 ホンハイ流のコストカットで、赤字事業は黒字に転換できる自信がある。しかし、IT技術者は促成栽培では育たない。世界の製造業はこれからの数年間で、AIとIoTを武器に新しい競争の局面を迎える。M&A(合併・買収)は「時間を買う」という言い方をされることが多いが、シャープによる東芝のPC事業買収は「人材を買った」ということだ。

シャープは中国企業に売却されるのか?

 ここにきて、「ホンハイがシャープを売却するのではないか」との観測が駆け巡っている。会員制情報誌『選択』(2018年8月号)が「鴻海がシャープを売却する日」と報じたためだ。

 ホンハイはパソコン、スマートフォン、ゲーム機など、エレクトロニクス製品のEMSを行うメーカーであり、アップルを中心に世界に多数の顧客を持っている。顧客企業は独自ブランドで製品を販売しており、ホンハイが支えるシャープと市場でライバルとなるケースも少なくない。シャープを傘下に持つことが、長い目で見てマイナスになる恐れがあるということだ。

 過去5年以上、ホンハイの売上高の過半はアップルが占めた。

「鴻海は過度なアップル依存からの脱却のため、中国メーカーへの接近を改めて志向しており、小米科技(シャオミー)などからのスマートフォン(スマホ)生産の受託も増やしている。スマホ自体の需要の飽和化もみえており、鴻海としては顧客メーカーを増やし、受託製品の幅を広げたいところだ。そのためには中国の有力企業と『お近づき』になる必要があり、シャープを嫁入り(売却)させるのがベストの見方がある」(前出『選択』より)

 同誌は、中国ハイセンス・グループ(海洋集団)を最有力の受け皿候補として挙げた。ハイセンスは韓国サムスン電子に次ぐ世界2位の液晶テレビメーカーだ。サムスン電子に追いつき追い越せを目標に、M&Aに乗り出した。

 ハイセンスは17年11月、東芝から赤字が続くテレビ事業を買収した。東芝子会社の東芝映像ソリューションの株式の95%を、約129億円で取得(売却完了は18年2月)。ハイセンスは東芝映像ソリューションを通し、「レグザ」ブランドのテレビ開発や販売・保守サービスを展開している。

 ハイセンスの「打倒サムスン」の切り札となるのは、自前の液晶や有機ELパネルの開発・生産だろう。シャープは、画質や低消費電力に優れた「IGZO(イグゾー)」や自由な形状で量産ができる特殊ディスプレーなど、技術を持つ。これが、ハイセンスがシャープ買収に動くのではないかとみられる理由だ。

 果たして、シャープが中国企業に転売される日は、やってくるのだろうか。
(文=編集部)

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