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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

なぜ東京の30~50代男性の間で風疹が大流行?妊娠中だと胎児に心疾患や難聴の恐れ

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「厚生労働省HP」より

 厚生労働省によると今年1月からの風疹の患者数は139人で、すでに昨年1年間の患者数を50人近く上回っている。特に注目すべきは、発症者が先月下旬から増え、今月6日から12日までの1週間の患者数は39人に上り、そのうち31人が東京都と千葉県の患者という点だ。

 この風疹の急激な広がりの背景には何があるのだろうか。桶川みらいクリニック院長の岡本宗史医師に話を聞いた。

症状と感染経路

 岡本医師によると、風疹の初期症状は風邪に類似しているという。

「感染から2~3週間の潜伏期間を経て発熱、発疹、リンパ節腫脹などの症状が発現しますが、その3つの症状がすべてあるとは限りません。適切な治療を行えば、ほとんどの場合は後遺症等を残すことなく治癒します」(岡本医師)

 自己判断で風邪だと軽く考え、医療機関への受診が遅れて重症化を招くことがないように、早めの受診をしていただきたい。

「飛沫感染と接触感染が主な感染経路です。飛沫感染とは、ウィルスを含んだ患者の咳やくしゃみを吸い込むことによって感染することを指します。接触感染は、ウィルスが付着した手で口や鼻、目を触ることによってウィルスが粘膜から侵入する経路です。このため、人口密度が高い場所で感染が拡大しやすい傾向にあります。風疹に感染した後は、発症の前後1週間が周囲へ感染を広げる確率がもっとも高く、解熱後は速やかに感染力が低下します」(同)

 人口密度が高い場所での感染拡大という点を裏付けるように、今回の感染者は東京、千葉に多い。夏休みも重なったことで、人が集まる場所で感染が広がったと考えられる。今後も都心部はさらに感染が広がる恐れがある。

 過去にも風疹の流行はあった。1976年に大流行したほか、82年、87年、92年とほぼ5年おきに全国規模での流行が起きた。その後、しばらく大流行はなかったが、2012~13年に再び感染者が1万数千人を超える大流行となった。そういった経緯から今回の風疹患者の増加を見ると、2012~13年のような大流行となるのではないかと岡本医師も懸念を示す。

予防法は

 さらに岡本医師は、特に妊婦には注意してほしいと警告する。妊娠20週頃までの妊婦が風疹に感染すると、胎児にも影響が及ぶ恐れがあるという。

「生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群三大症状(先天性心疾患、難聴、白内障)になってしまう可能性があります。妊娠中にはワクチン接種を受けることができないため、妊娠適齢期の女性は免疫を獲得しているか確認を行い、必要に応じてワクチンの接種を受けてほしいと思います」(同)

 風疹の予防は、ワクチンが有効である。今回の風疹の流行では、特に30~50代の男性に感染者が多い。自分が過去に風疹ワクチンを受けたか不明という人は、検査をしたのちに必要があればワクチン接種をしてもよいが、たとえ過去に風疹ワクチンを接種していたとしても再度、接種しても問題ない。特に家族などに妊婦がいる場合は、風疹ワクチンの接種について医師に相談することをオススメする。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

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