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桶谷 功「インサイト思考 ~人の気持ちをひもとくマーケティング」      

「8割の女性が管理職になりたくない=成長意欲ない」は完全にピントがズレている

文=桶谷功/株式会社インサイト代表取締役
「8割の女性が管理職になりたくない=成長意欲ない」は完全にピントがズレているの画像1「Gettyimages」より

 日本経済新聞が今年はじめに公開した「働く女性2000人意識調査」の結果で、「管理職になりたい」と答えた女性は2割にとどまる、とありました。そして、女性に「いかに成長意欲をもってもらうか」が課題と出ていました(※1)。

 これは、「管理職になりたい=成長意欲がある」「管理職になりたくない=成長意欲がない」という判断がなされていることを意味しています。はたして、この判断やそこから導き出された課題設定は、的を射たものなのでしょうか。8割の女性が「管理職になりたい」と答えなかった本当の理由はなんなのでしょうか。

 女性管理職の比率を上げる努力をしている企業で、よく聞くのは、男性の上司が管理職候補の女性に打診をしても、「私なんかに、管理職は務まりません。無理です」と辞退されてしまうケースです。

 この発言を、どう解釈したらいいでしょうか?

「思い込み」を捨てる

「8割の女性が管理職になりたくない=成長意欲ない」は完全にピントがズレているの画像2『戦略インサイト――新しい市場を切り拓く最強のマーケティング』(桶谷功/ダイヤモンド社)

 筆者は人事が専門ではありませんし、働き方改革などに取り組んでいるわけでもありません。マーケティングが専門です。しかし、マーケティング戦略を立案する段階で、さまざまな消費者調査をします。今回の例でいえば、「管理職になりたい 20%」というような定量調査の結果や、定性調査での「私には管理職は務まりません、無理です」といったインタビュー結果を得るわけですが、マーケティングでは、ここからが勝負です。

 彼女たちの答えに隠されている、彼女たちが言葉にしていない本当の気持ち(=インサイト)はなんなのか。それを突き止めて初めて、効果的なマーケティング施策ができるのです。

 では、彼女たちの、これらの数字や発言を、どう解釈すればいいでしょうか? もっとも注意すべきは、自分の価値観や思い込みで解釈しがちだということです。このケースでは、男性管理職が性別も年齢もライフステージも違う女性社員の気持ちを解釈することになるので、なおさら注意が必要です。

 管理職の男性が抱きがちな“思い込み”、その1。「偉くならないより、偉くなるほうがいいに決まっている」と無意識のうちに思っている人が多いのではないでしょうか。そして、部下の女性も同じように思っていると思いがちです。しかし、女性は、男性のように「人の上に立つ」とか「ボスになる」ことにあまり価値を感じない人も多いでしょう。

桶谷功/株式会社インサイト代表取締役

桶谷功/株式会社インサイト代表取締役

大日本印刷(株)を経て、世界最大級の広告代理店 J.ウォルター・トンプソン・ジャパン(株)戦略プランニング局 執行役員。ハーゲンダッツのブランド育成などに貢献。2005年、著書「インサイト」(ダイヤモンド社)で日本に初めてインサイトの考え方を体系的に紹介。2010年に独立し、(株)インサイト設立。マーケティング全般のコンサルティングを行う。コンサルティング実績は、食品・飲料・日用品・クルマ・医薬品・百貨店・ファッションEC・C2C・テック系サービスと多岐にわたる。インド・中国などでのインサイト探索・戦略開発や、イノベーション開発、独自メソッドの導入・教育も行う。他の著作に「インサイト実践トレーニング」「戦略インサイト」(ともにダイヤモンド社)など。企業・協会等での講演やセミナー多数。日本広告学会会員。グロービス経営大学院MBA講師。

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